278話
この戦いは僕の目的の2つ共に該当している。
この世界を平和にする、そしてソラのもう1つの体を助けるというもの。
だからこそ、ここまで協力してもらった皆には悪いが、ここからは僕1人で片をつけたかった。
「私は構わないが、お仲間はそう思っていないようだぞ?」
死神の言う通り皆は反対している用だ。
「ごめん、これだけは譲れない」
皆に向かってそれだけ言い1歩前に出る。
「それだけで良いのか?後悔するかもしれないぞ?」
「それは、ない!」
今出来る限りで自我を捨てる。
通常が100とするなら今は半分の50位だろう。
この状態が今の限界だった。
それは、自我を完全に捨ててしまうと戻れなくなり、敵味方関係なく襲ってしまう。
今のこの状態は半分は自我が残っているため敵味方の判断がつく。
戦闘に関してはゲームでよくあるオートモードのような感覚である。
自分の体が別の何者かに動かされているようでありながら、自分で動かそうとするとなんとか動かせる。
それなら、初めからそれで戦えば良いというわけではなく、しっかりデメリットもある。
1つは消耗が大きく、長く持たないこと。
初めから使っていたら今ごろはもう動けなくなっていただろう。
もう1つは攻撃を受けると、その攻撃を放った人をと判断してしまうこと。
皆で戦うときはもしかすると、流れ弾が当たってしまうかもしれない。
そんなとき、おそらく瞬間的に敵がその流れ弾を撃った仲間に切り替わる。
一応体を動かせるだけの自我を残しているといえど、手間取ると自滅してしまう可能性まであった。
そして、ここまで使わなかったのにはもう1つ理由があるのだが、上手くいっているのか定かではない。
リーセスの最後の攻撃がどうだったのか、それにかけるしかない。
◆
死神は余裕綽々という雰囲気で構えている。
そこに余計な力は入っておらず、ただ、武器を持っているだけに見えるが、実際のところ隙は一切ない。
そして、こちらが動かないと始める気はないのだろうということが、分かった。
50の自我で押し止めていた体が動き始める。
後はただ、リーセスの最後の攻撃を信じてその兆候を待つだけだ。