275話
「帰る理由ね。1つはこの世界は私の力を耐えられない。もう1つはやり残したことがある」
「やり残したこと?」
「お前達には関係ないことだ・・・・・・・・・お前達ならわかるんじゃないか?」
僕とリーセスの方を見ながら言う。
「それこそ地球に帰してやっても良いぞ?地球はこの世界の2つ上の序列だ。どうせ通らないといけないし、お荷物がいたところで次の世界は簡単に突破できる」
僕たちは全員固まった。
突然の提案。
「こっちに大事な人がおんのに帰るわけないやろが!」
リーセスが怒ったように言う。
それは僕も同じ気持ちだった。
マイはもちろんのことレクスここにいる皆。それにこれまで関わった人々。
そんな人を残して帰れるわけがない。
「それが、やり残したことの答えだ」
◆
「この世界がお前の力を耐えられへんってのはどういうことや?」
返す言葉に困ったのか話を変える。
「帝国で無差別に人々が死んだのが、答えだ。力が大分戻ってきて、この世界を壊してきている。
それをあの前の体で出来る限り最小限に抑えて放出していた」
「もし、していなかったら・・・・・・」
「既にこの世界は壊れて修復不可能になっていただろうな。天使が干渉してこないのもここがそうして壊れることが分かっているからだろう」
何となく話の背景が見えてきた。
しかし、それでも1つだけ分からない事があった。
「何で僕を転生させたんだ?」
死神は一瞬驚いた顔をしつつ考えるように顎をさわる。
「それは恐らく天使に記憶を改竄されている。お前を転生させたのは天使だ。
それも私を止めるためという理由でな。お前のその死神の目も私が加護を与えたわけじゃない。
もし、私が与えていたらリーセスのように操られるだけだ」
何故か死神が悪くない奴のように思えてきた。
「じゃあ、何で僕に人を殺させたんや」
「私はお前になんと教えてきた?」
「・・・・・・目の前で起きたこと全てフィクションだと思え」
リーセスが思い出すように声にだす。
「それが答えだ」
どういうことだ?
リーセスが見ているものはフィクション?
・・・・・・もしかして、僕もリーセスの目に見えているフィクションの存在?