268話
あの後、遅めの昼食を済ませ、皆とも合流した。
実はレクスとマイは一度づつ僕の部屋にノックをしに来ていたらしい。
レクスとマイが僕以外の部屋を訪ねなかったのは2人は丁度同じようなタイミングで訪ねてきていたらしくその時に会っていたから。
他の4人の部屋に行かなかったのは2人部屋だったからだそうだ。
あまり用も無いのに邪魔になってはいけないと配慮したらしい。
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これは後で聞いた話なのだが、レイとリーセスが同じ部屋だったのはリゼイルさん達の意図、ノインとカリアさんが同じ部屋だったのはノインが心配なカリアさんが一緒の部屋にしたらしい。
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皆で集合したのはリーセスの部屋。
リーセスはまだ思うように動けないためだ。
と言っても本人は元気そうなので大丈夫だろう。
しかし、死神の話になるとその顔色が一気に悪くなっていた。
「あれは、多分死神やない」
リーセスがそう言うが僕も薄々そうなのではないかと考えていた。
死神らしさで言うと鎌しかなかったし、何よりその鎌による攻撃しかしてこないのは違和感があった。
「でも、初めは死神だって言ってなかったか?」
ノインの言う通り確かにリーセスは初め死神だと言っていた。
しかし、その後、何かを考えているようだったのも覚えている。
「姿は前に見たときの死神やったんや。でも、少なくとも僕が使える幻惑魔法は使えるはずや」
「じゃあ、あれはなんだったの?」
レイがリーセスに聞く。
「それがわかったらええんやけどな。でも、何か起こる前に王都に帰っとく方が今後のためになると思うで、見せかけの馬車もやめて移動魔法でヒョイっとな」
「それは賛成だ。こんな状態で馬車で帰っていて何かに遭遇すると対処しきれないからな」
それからリーセスの体が良くなった上でもう一度集まろうということになりその場は解散となった。
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家に帰ると安堵の一息が勝手に出た。
「ねえ、本当に2人だけで行くの?」
いきなりマイにそう聞かれる。
マイの中ではまだ納得してなかったのだろう。
マイの問いに静かに頷く。
「私も行きたいって言ったら、どうする?」
「マイには安全な所にいてほしい」
「・・・・・・・・・分かった」
なんというか再度話題を出したにしてはそこまで食い下がらなかったのが気になりはしたが、まだ疲れが残っていたためかそれを考える前に夕食もとらず眠ってしまったのだった。