266話
こんなことが起きたのは2度目だ。
警戒しつつ死神に近づくが全く反応しない。
うつ伏せに倒れている死神を仰向けにする。
◆
容姿はエルフに見える。
それを考え始めると突然目眩に襲われ片手をつく。
魔力を使い過ぎたのだ。
今回は魔法はほとんど使っていない。
どうして・・・・・・
ダメだ。思考があちこちにそれてしまう。
とりあえず死神が死んでいるのは分かった。
「カリアさん、馬車を引いてくれるかな」
最後の力でインベントリから収納しておいた馬車を取り出す。
馬が引くように設計されているが、カリアさんならなんとか引いていけるだろう。
移動魔法があるじゃないかと思うかもしれないが、皆夜通しの戦闘に疲れ果てている。
移動魔法を使う余裕は誰にもないだろう。
そして、馬は初めの段階で逃げてしまっているためこれしか方法がなかった。
「わかりました」
・・・・・・死神の容姿がエルフだった事を考えるとこの死体は持ち帰って確認してもらった方が良いな。
これ以上魔法を使うと動けなくなりそうだったため馬車に乗り込んでからインベントリに死神の死体を入れた。
予想通りそこで僕の意識は遠退いていった。
◆
「リーセスもそうだったが、あの連中は無茶ばかりしやがるな」
リゼイルがそう言いながら自分達が乗ってきた小さな馬車に乗り込む。
「皆さん限界まで魔法を使ってましたからね」
「だからこそもう少し役にたちたかったけどね」
サイルにリーリエが続く。
リゼイル達が早めに戦闘に加わらなかったのはリーセスが自分達なしでどこまで戦えるのかを知るため。
彼らはまだ弱かった頃のリーセスしか知らないため強いとは聞いていたもののどれだけ強いのかがわからなかった。
結果は想像の何倍も強くなっており逆に自分達が足手まといになるほどである。
リーリエのもう少し役に立ちたかったというのは彼が一人で戦っているときに何も援護出来なかったためだろう。
また、カイ以外も馬車に乗り込むと電池が切れたように眠りについていたのを見ていた。
「俺たちもそろそろ目指すべきかもな、Sランク」
リゼイルの言葉にサイルとリーリエは頷くのだった。