264話
これは先日遅れていたものです。
また、本日投稿分の代わりに「ルシフェル」という作品を1話投稿します。
今後こちらを休む際は投稿する予定なので是非読んでいただけると嬉しいです。
リゼイルさんが前衛に増えたことで僕とリーセスの負担は大分減った。
それと同時にサイルさんの魔法による補助、リーリエさんの弓矢による攻撃で手数も増え、戦闘は安定していた。
それでも続いているのは死神の力との差があるためだろう。
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少しづつ空が明るくなってきている。
夜通し戦闘をしているため皆の顔には疲労が見えてきている。
これが、魔獣が相手ならば一旦撤退することも出来るが、旧帝国で起こっている事件の事を考えると下手に何も出来なかった。
疲労が溜まるなかでも動けているのは魔法の補助があるためだろう。
「あれ使わんと終わりそうにないな」
リーセスが死神に攻撃をしながら言う。
「仕留めきれる保証がないだろ?」
それを諭すようにカイが言うが、
「そうは言うても何かせんと変わらんで」
そう言いながら幻惑魔法で自分の体に強化をかける。
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その動きに野生の目を使っていないカイ、リゼイルはついていく事が出来ず、安全な所まで下がるしかなくなった。
また、幻惑魔法での強化により他の補助魔法の効果が意味をなさないためその魔法も止まる。
更に、リーリエによる弓矢もリーセスの動きに反応出来ず、リーセスに当たってしまう事を考慮してその援護も止まった。
◆
リーセスは以前より更に技術のいる技を使っていた。
幻惑魔法による強化を瞬間的にかけたり止めたりを繰り返し長持ちするように立ち回っている。
それには自分の体の制御を完璧にする必要があった。
歩くところから一瞬で最高時速に持っていったり、そこから急に歩く的なことを繰り返しているのである。
その反動すらも回避や攻撃の動作にしているのが彼の戦闘センスの高さを表している。
彼は前回この奥の手が通用しなかった事からこの奥の手を使ったとしてもその後動けるようにするため努力していた。
まだ、その目標には至っていないが、以前より格段に使える時間が長くなっていた。
思わぬ副産物ではあったが、この場面にとっては良かったとリーセスは感じていた。
リーセスもこれが無謀なのは十分理解していた。
しかし、これをすることで皆休息をとれるのだ。
その様子を見てはぁ。とため息をつくのはサイルである。
「あれほど自己犠牲の精神は自分の身が危険になると言ったのに」
「人ってのは中々変われないもんなんだよ。皆に迷惑をかけてないんだし好きなようにやらしてやろう」
サイルの呟きにリゼイルが近づきながらそう言った。
そんな二人の目はまるで自分達の子供を見ているようだった。