263話
僕と共に前衛をすることになったのがリーセスだ。
彼の戦闘スタイルは基本幻惑魔法が主体ではあるが、小刀の扱いも手慣れている。
死神はいまだに鎌による物理攻撃しかしてこない。
それを弾きながら攻撃を狙うが、全て避けられる。
二人がかりでやってもだ。
しかし、避けるということは当たれば効くということの裏返しだ。
後ろからは後方支援として魔法が放たれているが、全て鎌に上手く処理をされてしまう。
僕たちに当たらないように威力を抑えているのはあるだろうが、それでもやはり鎌に特殊な力があると考えた方が良さそうだ。
恐らくそれにレクスが気づいたのだろう、魔法での攻撃はなくなり僕とリーセスに補助をするような魔法を使い始める。
緩やかに力が増えていくという感じのため野生の目を使ったときの体を動かす違和感はない。
急激に上がらなければ違和感を覚えることなく動くとが出来る。
その分時間はかかるが、こういう戦闘中ならばこちらの方が良い。
◆
辺りが暗くなってきた。
しかし、死神が動き続けている。
もう、数発は攻撃が当たっている。
それなのに、倒れないということに不安と焦りを覚えていた頃。
「リーセス!!」
中々倒れない死神に無理矢理攻撃したリーセスを待ち構えていたといわんばかりに鎌が襲う。
疲れもあるためかリーセスの反応は遅れた。
僕も反対側にいるため助けることは出来ない。
ただ、倒れることを願い死神の背に攻撃をすることしか出来ない。
しかし、カイに不安はなかった。
◆
鎌が当たるすんでのところで何者かが止める。
金属音と火花が勢い良く弾ける。
それと同時に遠くから弓矢による攻撃が始まり、
リーセスを何者かがさっとその場から退避させる。
◆
時はちょっと前まで遡る。
旧帝都でリゼイルさんたちからのお願い。
それは旧帝国にいる間、見守らせてほしいというものだった。
あくまで見守るだけで危険になるまでは手を出さない。
しかし、危険になれば躊躇なく介入するという条件で。
このタイミングで見守ると言い始めたのはやはり旧帝国で多発している事件だろう。
そう思いレクスと共に了承した。
まさか、ここまで危険になるとは思ってなかったが、結果的には良かった。
もし、あのまま攻撃を食らっていればリーセスは良くて戦闘不能、悪ければ致命傷にもなっただろう。
その状態になると一人で前衛をしなければならなくなり、必然的にまだ慣れていない野生の目を使わなければならない状況に陥るところだった。
こうしてリゼイルたちが加わり死神との戦闘がより激しさを増していく。