259話
翌日朝、皆はまだ寝ている時間にレクスと共にギルドに来ていた。
出るときマイにはバレたけど、マイは事情を知っている為「行ってらっしゃい」と言ってくれた。
ギルドに行くと、やはり早朝にもかかわらず少なからず冒険者がいる。
椅子に座って寝ている人もいるけど・・・・・・
昨日の夜、受付の人に奥の部屋をお願いしていた為すんなり入る事が出来た。
◆
「おはようございます。お待たせしてすみません」
「いや、構わない。それよりも本題を聞こう」
「はい、・・・・・・・・・」
やはり、サイルさんが代表して話していた。
そのお願いの内容は少し違ったが、概ね予想通りだった。
「本当にそれで良いのか?」
「はい、私たちは修学旅行をするには年を取りすぎていますから」
「では、こちらからもお願いをしても良いですか?」
リゼイルさん達のお願いを聞いた所でこちらからもお願いをする。
これが今回のギルドからの依頼を受けた本当の理由。
生存確認だけで良かったところを何故直接会ったのか。
「事件の情報について、ですね?」
サイルさんがそう言うがこの場でそれに驚く者はいなかった。
全員がそうだろうと確信していたのだ。
「はい」
「私達も色々調査していたのですが、正直目新しい情報はありませんね。
旧帝都で聞き込みをしましたが、皆旧帝都の外の村や町には出ていないようで・・・・・・」
サイルさんが言うには皆怖くて他の町に移動できないようだ。
それに、ここには自分以外にもたくさんの人がいるため少し安心できるためでもあるだろう。
中々情報は得られなかったが、これで旧帝都で聞き込みをする手間が省けたと思えば、この期限付きの旅にとっては良かったことである。
ギルドを出て暗い路地に入ると、僕とレクスは移動魔法でそれぞれの部屋に向かった。
と見せかけて僕だけその場に止まり、後ろに振り返る。
「そろそろ、出てきても良いんじゃないか?」
「なんや、気づいとったんかい」
なにもないように見えていた所からリーセスが見え始めた。
「挨拶しなくて良かったのか?」
「それは今回の事件が解決するまでおあずけや。
あんな心配させてんのは、あの頃の僕が情けなかったからや。
この事件を解決して3人を安心させんとな」
いつも通りの口調でそう言うが、覚悟の決まった顔をしていた。