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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
旧帝国領編
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閑話 節分

「節分?」

僕が節分について話しているとやはりこの世界に節分はないようでマイは聞き返してくる。


ふんわりとした感じで伝えると、

「豆祭りみたいだね」

「豆祭り?」

今度は知らない単語が出てきた。

「そう、豆を投げたり食べたりする祭り。ちょうど今日がその日だよ」

「え?」

驚くのも無理はない。

今日節分の話題を出したのは今日がまさしく節分の日であったためだ。



というわけで買い出しに出ることになった。

豆祭りだからか今日は様々な場所で豆が売っていた。

マイによると、スタール亭でも豆祭りの日は豆を大量に準備しておくらしい。

今回は節分ではなく豆祭りとして楽しむことにしている。

今までは前世の記憶をもとに色々やっていたが、この世界で似たものがあるならそれを体験するのも悪くない。


夕食に使う分の豆の買い出しが終わると、スタール亭によることになった。

ちょうど時間がお昼で昼食を食べに来たのだ。



店内はすごい風景だった。

店内にいる客全員が顔の上半分を覆う鬼の仮面をつけているのだ。

つけていないのは店員さんと僕達のみ。

この様子に困惑していると、

「他人の家や店に入るときは鬼の仮面をつけるのが豆祭りの日のルールなんだよ」

マイがそう説明してくれた。

世界が違うと文化が違うものだな。

前世では鬼を家の中に入れないようにするのが節分だったはずだ。


よく聞いた「鬼は外」、「福は内」がその証拠である。

「僕はつけなくて良いの?」

「もちろん。もう家族、でしょ?」

「そう、だね」

厳密に言えば一応まだ家族ではない分類に入ると思うのだが、それは一旦置いておこう。

それよりもマイからそう言われたことに感動を覚えていた。



今日はなぜか二人で食べることになった。

本来は4人で食べるのだが、今日は二人で食べるようにとミザリーさんから言われたのだ。

「やっぱり忙しいのかな?」

これくらいしか理由が見当たらない。

「そんなこと気にしないで食べよう」

マイは本当に気にしていないようだが、僕は何かある予感がしている。



結局なにもなくスタール亭を出た。

「美味しかったね」

「そうだね」

二人が一緒に食べなかった理由は謎のままとなったのだった。

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