252話
「何があるんや?」
「一応ギルドでの依頼みたいなものだから守秘義務みたいなのがあって・・・・・・」
実はギルドで帝国に行くついでに受けられる依頼を探していたら受付の人にお願いされたことがあるのだ。
そして、それを口止めなんてされていない。
何故話さなかったのかは後程わかるだろう。
レクスには一応話しているし、マイにも聞き出されたため知っているが、他の皆は知らない。
本当に守秘義務というわけではないから良いよね。
「守秘義務かぁ~。かっこええなぁ。僕も冒険者になってみよかな」
中々守秘義務に憧れて冒険者を目指す人はいないと思うのだが、そういうのは人それぞれだ。
「初めは面倒くさいぞ?」
一応忠告はしておいた。
やってみた感じだが、下のランクが受けられる依頼って雑用みたいな物が多く、何でも屋かと何度も思っていた。
「話はこれ位にして進むぞ」
レクスが話を強制的に切り上げ皆を馬車に乗り込ませる。
◆
それからまた進んで日が落ちてきた頃、野営場所を探していると、幸運にも明かりのついている村があった。
馬車で近づいていくと村の人に止められた。
「この村に入りたいなら金目の物を出せ。最近物騒だからな」
言い方が物騒だな。これ、本当に村の人か?
僕はリーセスと目を合わせて同時に馬車から降りる。
村の人?が話しかけているのはリーセスの幻惑魔法で御者に見えている魔方陣だ。
その人の言葉に答えることが出来ないため出てきた訳だ。
僕とリーセスが出たのは何があっても大丈夫なようにだ。
「すみません。あなたこの村の人ではありませんよね?」
僕がそう言い切れたのは村の明かりは入り口付近だけはついているが奥の方が全くついていなかったためだ。
後は言葉使いとかからそう判断した。
先程、事件の起こった村に後から住む人間はいないだろうと思っていたが、盗賊的な存在は例外だろう。
人も寄り付かなくなるだろうし逆に良いと考えるかもしれない。
「なんだよ。もしかして同業者か?ここでやり合ったって意味ないしそっちが退いてくれると助かる。
退かないなら俺の後ろから増援が沢山来るけど・・・・・・どうする?」
何か同業者だと勘違いされているがこれは好都合だ。
「分かりました。こちらが退きましょう」
野営をすれば良いだけなので村は諦めることにした。
◆
それから馬車に乗りその村から離れた。
後ろを念のため警戒していたが、特になにもされなかった。
「レクス」
「ああ、分かっている。少し抜ける」
レクスが移動魔法を使い馬車の中から消える。
先程のことを王城に伝え対処してもらうためだ。
まあ、僕たちなら問題なく制圧できるとは思うが、相手の数もわからないし時間もない。
そのため対処は警備軍に任せることにしたのだ。