249話
こうして、修学旅行出発の日。
行き先が違うが、学校に集まっていた。
他の皆には亜人の聖地に行くという風に説明されている。
そのため、不審がられることはないだろう。
修学旅行前ということでザワザワしている。
「点呼をとるぞ」
そんな中で先生が普段より大きな声で皆に呼び掛ける。
それでもザワザワとした雰囲気は変わらなかったが、先生の呼び掛けに応じ並び始めた。
僕たちは行き先が違うということで少し離れた場所で集まっている。
僕たちの本当の行き先を知っているのはロヴァイトさんと校長先生位であるため、先生たちが心配しに来ることもなく出発の時間となる。
行き先は違うが出発も同じタイミングだった。
今回の修学旅行は僕たちは少人数のため少し大きめの馬車に乗り込んだ。
他の皆は人数が多いため凄い大型な馬車3台で向かうようだ。
そんな、何人も乗る大型な馬車を普通の馬が、というのは無理があるため馬に近い形の飼い慣らされた魔獣が轢く。
◆
僕達の馬車の中には今5人しかいない。
というのも・・・・・・
「実は、カリアが一緒に来ることになったんだ」
馬車が出発してすぐノインはそう言った。
この中の誰もそれを聞いていなかったが、幸い馬車にはまだスペースがあるためとりあえず呼んでくるようにとノインをカリアのところに行かせて今に至る。
「お邪魔します」
そう言いながらノインの移動魔法で来たカリアは全く荷物を持っていなかった。
恐らくノインに預けているのだろう。
「すまないが経緯を教えてもらえるか」
レクスが代表して聞く。
「有給を皆に消化させるための見本になるように言われて強制的に休まされました」
「なるほど、それでこちらだったら先生もいないから一人増えても大丈夫だろうということだな?」
「うん」
ノインはさも当然のように頷く。
「はぁ、分かっているのか、この先は奇妙な事件が起きている危険な場所なんだぞ?」
「俺が守るから大丈夫だって」
あれ?何かノインが凄い格好いいこと言ってる。
まるで物語の主人公みたいだ。
「わかった。元々巻き込んだのはこちらだしな。ただ、ちゃんと守れよ」
レクスは一度念を押してカリアの同行を許可した。
◆
馬車はゆっくり進んでいく。
そして、辺りに何も見えないことを確認して移動魔法を使った。
使った先は旧帝国領の左端。
ウェンテライウ王国から見て一番近い場所だ。
さすがに5日間という限られた時間であの草原を抜けていたら全く時間が足りない。
こうしてカイ達は旧帝国領に足を踏み入れたのだった。