248話
修学旅行前の休みにノインは準備に外出・・・・・・するわけではなくカリアの元に来ていた。
「へえ、修学旅行がそんな形になったんだ」
「それはまた大変だね」
「本当にそれで良いの?」
ノインはカリアの職場で修学旅行の話をしていた。
普段は言わないようにしないといけないが、獣人にたいしてなら後で人間に噂が広まることもない。
そういうこともあり色々な話を来る度にしていた。
そのため獣人の言語も聞き取れるようになり、大体の事を獣人の言語で話すことが出来るようになっている。
「はい、それに普通の修学旅行より時間がきっちり決まってないですから」
「好きなときにこっちに来れるって?羨ましいね熱々で」
「何言ってるのよ。あんただって昨日」
「ストッッッップ!」
「まあ、自分で決めたんなら良いんじゃないかい」
ノインの返答にカリアの同僚たちが次々に反応する。
昨日何があったのかは知りたいところだが、話がすぐに元に戻ったため聞く機会を逃した。
「そこら辺にしてカリアに場所を譲らないと、カリアが限界そうだよ?」
「ちょっ!先輩!」
「違った?」
ニヤリと笑うカリアの先輩。
「そろそろ始めるぞ」
社長がそう呼び掛けると皆がせっせと準備を始める。
◆
「それでは、遅れましたがカリアが相手を見つけた事を祝して、乾杯!」
『乾杯!!』
普段は別々の場所で仕事をしているため中々全員が揃うことがないがこのために全員が会社に集まっていた。
このために机等が並び替えられ、飾り付けもされている。
先程からワイワイしていたが、そこに食事やお酒が増えた事でよりいっそう賑やかになっている。
「そうだ、そうだ忘れるところだった。一つ伝えないといけない事があったんだった」
社長がノインのところに寄っていきそこまで言うと片手に持ったジョッキをあおる。
「ぷはぁ、一週間位なら一人いなくても仕事が回るぞ?」
ノインはその一言で社長が何を言いたいのかわかった。
「ちょっと社長、ノインを困らせないでくださいよぉ」
カリアは既に酔っぱらった様子だ。
本日の主役であるため皆からお酒を注がれ飲んでいたためだろう。
ノインは未成年ということで片方にヘイトが向いてしまったのだ。
「別に困らせようとはしてないぞ?中々皆有給を使おうとしないから誰かが一気に使えば使いやすくなるだろうという目的もある。それに、危ないところに彼氏だけを行かせるのは心苦しいだろう?」
「・・・・・・はい」
酔っぱらっているカリアはその気持ちが強かったのか涙を流しながら肯定した。
「そういうことだ。つれていってやれ」
「・・・・・・わかりました」
ノインは少し考えた後、そう答えた。
勝手に決めるのはどうかと思ったが、レクスなら許してくれるだろうと考えたのだった。