236話
3章スタートです。
それぞれが思い思いに過ごすなか、レクスがカイの家を訪ねていた。
「それで急にどうしたんだよ?・・・・・・まさか、魔族がもう?」
「ああ、それは恐らく関係ない。実はな私たちが亜人の聖地に行っている間に元帝国領が荒れてきているらしい」
「荒れてる・・・・・・ですか?」
「先に言っておくと統治が出来てないわけではない。ただ、不可解な事件が多発しているらしい」
「不可解な事件って・・・・・・僕に伝えるほどなの?」
というのも以前カイへの相談は事が大きい時のみにすると言われた事があったのだ。
「もしかすると王国でもその事件が起こるかもしれないからな」
「えと・・・・・・今さらですけど私も聞いても良いんですか?」
「ああ、カイに秘密にさせて夫婦仲が悪くなったらいけないからな」
「まだ結婚してないんだけど」
「2年後辺りで結婚するんだろ?変わらないだろ」
◆
そこから隣で顔を赤くしているマイを放ってレクスが事件について話し始める。
始まりは元帝都からも結構離れた街外れの村だった。
発覚したのはそこにたまたま通りかかった旅人が発見したのが始まりだ。
その旅人の証言ではその村に着くと、その村の人間全員が外傷もなく死んでいたという。
しかし、その旅人は怪しまれ一度牢屋に入れられる。
その後も、村人全員が死んでいるという事例が発覚し、その村の最後の生存確認がその旅人が牢屋に入った後だったためその旅人も釈放。
それで問題解決には当然ならずその後も発見者が容疑者として捕縛されるが、その人が絶対に関われないタイミングで次が起こるということが続いて今に至るそうだ。
「それって、本当に一人の仕業なの?」
聞いてて思ったことを聞いてみる。
「いや、それは断定は出来ないが、死んでいる村人は全員外傷がなくてな。何かの病ではないかとも言われ始めているんだ。最も村人丸々死ぬような病があったらたまるかという話だがな」
それは確かに。
どんなに感染力が強くてもさすがに全員が死ぬということはないだろう。
「でも、それどう対処するんだよ?」
「そこで、王子のしきたりである旅に繋がってくる。元帝国領を旅することになってな。これは強制ではないが、護衛として一緒に来てくれないか?」
「それってお前も危なくないか?」
「そうかもしれないが、解決できなければ被害が増えるばかりだからな」
レクスって結構自己犠牲の精神があるよな。
隣のマイを見ると頷いてくれた。
「護衛としてついていくよ」