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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
亜人大陸編
232/304

228話

マイはカイの目に気づきつつそれを気にせず抱き締めた。

カイの目が若干見開かれる。

しかし、彼は自信を抱き締める彼女を引き離そうとする。

力の差はあるが、抱き締められているため力がうまく伝わらず引き離すことは叶わない。

「良かった」

その言葉に少し反応するカイだがまだ目は混沌としたままだ。

「戻ってきて」

彼女のその言葉と共に制御の力が溢れ出す。

それは彼女が意図的に出したわけではなく、彼女の思いに反応して勝手に出たものであった。

その効力は一瞬で現れる。

彼の様子の変化にいち早く気づいたマイはカイの顔を見る。

すると、目はいつものように戻っていた。

「あれ?マイ?」

カイの目に写ったのは涙が溢れているマイの顔であった。

そして、どうしてこうなっているのか記憶を思い返してみる。

先代の精霊王に会ったところまでは覚えている。

そこからの記憶はおぼろげだが、うっすらとマイが倒れている場面を見た気がする。

それを思い出すとまた自分の中でもう一つの人格のようなものが、動き出しそうになるが、目の前にマイがいるため踏み止まることが出来た。

「目が覚めたようだね。もうしばらく休んで良いよ。ここからは俺に任せてもらおう」

サテュロスさんが精霊王の姿から獣人の王の姿に変わりながらそう告げると前に出ていった。

その発言にまだ戦闘が継続していることを理解し立ち上がろうとする。

「待って」

そう言って僕が立つのを妨げるマイ。

「僕も行かないと」

「休んで良いって言われてるんだから休もう」

「でも」

マイの言っている事は分かる。しかし、今回は休んでいるわけにはいかない状況だと思う。

僕の記憶にはないが、この状況的に僕が負けたせいでこうなっているのは明白だ。

「とりあえず休もう」

そのお願いするような声の後ろからサテュロスさんの声が聞こえてくる。

「皆下がってくれ。ここからは俺が引き受ける」

その声はまるで後ろで行こうとしている僕にも向けられているように感じた。

「ほら、少し離れよう」

サテュロスさんの後押しもあり後ろに下がることにした。



「やっとか。裏でこそこそやってたのは知ってるぞ?」

ビルナーはそう言う。彼は一度死んでいるためおかしくなっているが元と大分変わっているわけではない。

少し懐かしむ気持ちが出てくるサテュロスであったが、その気持ちを振りきる。

「これで平等ですよ」

彼の言葉通りこのエリアの植物は50:50の割合でサテュロスのものとビルナーのものが入り交じっていた。

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