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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
亜人大陸編
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226話

バタンと聞こえた後方ではカイが植物から救出されていた。

しかし、それと同時に支えを失った人形のように倒れてしまった。

近くのマイもそれで意識を取り戻したかのように動き出しカイに駆け寄る。

その瞳には涙が溢れていた。

立ちすくんでいた間に状況の整理が出来たのだろう。

涙を流しながらも回復魔法をカイにかける。

瞬時に手の傷は消えていくが彼はピクリとも動かない。



後方の様子を一瞬確認しカイが救出されたことを確認したリーセス。

今もっとも動けて冷静であることは自分で理解していた。

精霊王もまた冷静だろうが、精霊王が全力を出すには準備が必要のようだ。

それを考えると自分が相手の注意を引くしかない。


これまでは感覚が変わるため使っていなかった技を使うことにする。

自分自身に幻惑魔法をかける。

それは、相手にかける幻惑魔法がいわゆるデバフなるものだとするとこれはバフにあたる。

かと言って強化魔法でもない。

イメージはドーピングに近い。

近いがドーピングよりも遙かに強力なものだ。

強化魔法は言わば体全体もしくは一部を強化するものなのに対し幻惑魔法によるバフは体全体もしくは一部を特化させるものだ。

例えば足を強化するにしても走る事に特化させるのと蹴る事に特化させるのでは効果ががらっと変わったりする。

しかし、それだと感覚が変わってしまう。

そこでその差を幻惑魔法で縮める事によって彼はこの技を使用している。

しかし、縮めるだけであるためやはり違和感を覚えるため本人は好きではなかった。

そして、もう一つ欠点がある。

それは、それを解くとほとんど動けなくなってしまうという点である。

そのためこれは後に精霊王がいるというこの状況だからこその選択であった。



「雰囲気が変わったな。かかってこい」

自分に幻惑魔法をかけたリーセスの変化にいち早く気付いたのはビルナーだった。

ビルナーは音が気になったのかカイの方を見ていたはずなのだが、リーセスが自身に幻惑魔法をかけた瞬間そちらを向き構えた。

余裕綽々といった様子だったビルナーが初めて構えた。

その事に一層警戒を強めつつリーセスは構え直した。



回復魔法をかけ続けるマイの横でサテュロスはある作業をしていた。

それは植物の乗っ取り。ビルナーの生やした植物をジャックし、自分のものとして利用できるようにしようと考えたのだ。

サテュロスの魔力を吸っていたせいかビルナーの力が周りの植物の多さになっているようだった。

この言わば領域合戦に勝利した方が有利になる。それはわかりきっている事だった。

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