204話
「ある程度片づいたかな」
「そうだね」
僕の声に手の甲で汗を拭いながら答えるマイ。
「アリ・・・・・・ガトウ」
近くに居た獣人に僕達の言語で話し掛けられた。発音、イントネーションは全然違うが、ちゃんと聞き取れた。
こちらの言語がどこまで伝わるか分からなかったため頭を少し下げて伝わったということを表すとその獣人は笑顔になった。
それを見た僕達もつられて笑顔になる。
「とりあえずサテュロスさんに会いに行こうか」
その声にマイが頷いたのを確認して、周りの目もあるため移動魔法は使わず徒歩で向かい始めた。
◆
その頃、リーセスとレイが向かった所も最終局面を迎えていた。
カイの所よりも時間が掛かっているのはカイほど魔獣の知識を持っていなかったから手探りで倒していった事にある。
リーセスの奥の手として幻惑魔法もあるが、獣人の目もあるため控えた。
そのため最近使えるようになった攻撃魔法で対処していた。
威力にはまだ伸びしろがあるが、魔獣を倒すのには十分な火力は有している。
その時突然現れた人影があり、警戒するリーセスだが、
「助けに来たぜ」
その人影はノインであった。
「・・・ええんか?彼女置いてきて」
リーセスはノインの援軍はありがたかったが、それよりも彼女を置いてきている事に気が向いた。
「大丈夫」
返答はその一言だけだったが、ノインの覚悟を感じることが出来た。
元々最終局面だったのもあるが、ノインの活躍も大きくそれからすぐに魔獣の群れは助かった。
「トイエヤイ」
獣人の言葉で何か言われたが理解出来ないリーセスとレイ。
しかし、ノインは獣人の言葉をある程度学んだため理解できた。
ありがとうという比較的使うものだったのも理解できた理由である。
「リュイエダイメシ」
獣人の言葉でどういたしましてを意味する。
ノインはそう言ってからリーセスとレイの方に向きなおり、
「先に集合しといてくれ」
それだけ言い残し走って去っていった。
ノインが獣人の言葉を話していた所を見て驚く2人だったが、ノインの向かった場所はすぐに分かった。
◆
レクスの元にノイン以外の面々が集まったのはそれからまもなくのことである。
それは魔獣がそこまで入り込んでいた事を意味する。
「それで・・・ノインは恐らく彼女の元に向かったんだな?」
レクスがその事を再度確認するが、
「断定は出来へんけど、まあそうやろ」
「そうか、とりあえずここに居る面々だけにでも情報を伝え」
「お待たせ」
レクスの言葉を遮ったのはノインだった。