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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
亜人大陸編
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196話

その日は結局そのまま宿に帰ったノインは翌日の朝からそわそわしていた。

昨日家に行く許可をもらった自分へのよくやったという称賛の気持ちと何をしているんだという困惑の気持ちが入り乱れている。

その浮かれているのか動揺しているのか分からない気持ちを落ち着かせるために外に出たのだった。



部屋の扉を開けると扉の前にいた人影に驚く。

顔を上げるとカリアの顔がそこにあった。

いるはずのない顔であったため目を擦ってもう一度確かめるがやはりカリアの顔であった。

「あれ?」

「仕事休んできちゃった」

「どうやって」

この世界に電話なんていうものはない。

そのため仮病もあまり使えないし、無断欠勤も後々問い詰められるため無理なはずであった。

「上司に事情を言ったらすぐに帰してもらえた」

事情?と思うノイン。

「事情って・・・?」

「男の人と午後から会う用事だよ。そしたら気を利かせて帰してくれたんだ」

嬉しそうなカリアにノインの二つの気持ちは同時に増長していく。

「そう・・・なんだ・・・・・・・・・どう・・・する?」

なんとかその二つの気持ちを抑えつつなんとかそう発する。

「部屋見せて欲しいな」

「え?」

唐突なことに耳を疑う。

部屋といっても宿で泊まっている部屋なのでそこまで汚くはなっていないが何故か抵抗感があった。

「私の家も見せたんだし良いでしょ?」

それを言われるとどうしようもなく・・・・・・

「ど、どうぞ」

先程の二つにドキドキという激しい心臓の音が加わる。

「わぁ、ノインの匂いだ~」

明らかに喜んでいるような声でそう発するカリアにドキドキという音が少し静かになる。

しかし、言葉の意味を脳内でもう一度よく考えてみるとまたドキドキという音が大きくなる。

なんなら先程よりも大きくなっているのではないだろうか。

そして、急な呼び捨て呼びにも少しドキッとしてしまう。

それを感じながらもう一度カリアの方に目を向けるとクンクンと嗅ぎ回っていた。

「あ、あの・・・・・・恥ずかしい」

「え?あ、ごめん。獣人は相手の部屋に来るとまず匂いを確認するんだよ。それである程度情報がわかったりするから」

「そ、そうなんだ」

カリアが自分の情報を、そう考えると胸が痛くなるほどの緊張に襲われた。

「ノインがいい人ってことがよく分かったよ」

そんなノインの気持ちを察してかそう言うカリア。

その言葉にノインの緊張は若干の収まりをみせた。

完全に収まりきらなかったのはお世辞の可能性を考えたからだろう。

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