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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
訓練と成長
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2人部屋

前書き、後書きを書くときの方が本文を書くときより手が止まりやすい。

とても不思議です。

パーティーの後、予定では宿をとることになっていたのだが最上級を討伐した英雄とその連れを泊まらせるという隠れ蓑が出来たので城に泊まらせて貰うことになった。

本来は極秘の旅のため城には泊まれない。

宿をとる手間も無くなったのでラッキーだと思っていたのだが僕に用意されたのは2人部屋。マイ以外の全員は個室に案内されているので多分一緒に泊まれるように用意したのだろう。

言ってしまえばありがた迷惑だ。

いずれはそういう関係になりたいとは思っている。思っているのだがさすがに早すぎだろ。

言っておくけど付き合いだした当日だよ。

さすがに無理だ。かと言って用意して貰っておいて変えてくれなんて言えないのでその部屋で泊まることにした。

マイは2人部屋に案内されたときから顔が赤くなっている。

案内してくれた人が帰ってから僕は眠れそうなソファーを見つけたので、

「僕はこのソファーで寝るからマイはベッドで寝て。」

「えっ?ああ、いやダメだよ。最上級と戦ったんだからベッドで休まないと。私がソファーで寝るよ。」

やっぱり良い子だな~。

だけどここは引き下がれない。

「じゃあマイを心配させたお詫びとして僕がソファーで寝るようにするってのはどう?」

「それなら今日命を助けて頂いたお礼に私がソファーで寝ます。」

どちらも引かない状態だ。

沈黙が続く。

先に折れたのは僕だ。

「なら添い寝しよう。もちろん手を出したりしないからさ。」

「う、うん。(手を出してくれたって良いのに)」

うんの後は聞き取れなかった。

気になったが疲れていたので早く寝ようということになりベッドに入った。添い寝と言いつつベッドの端どうしで寝ようとしている。

おやすみと言い合い眠りにつこうとする。


……………寝れない。隣にマイがいると思うと緊張してくる。寝ようとしてから2~3時間くらい経っている。マイは寝ているだろう。

明日からまた旅なのでこれではいけないと思いマイを起こさないように慎重にベッドからおりた。そしてさっき見つけていたソファーで寝ようとしたらすぐ眠りについた。


翌朝目が覚めるとマイはもう起きていた。

「おはよう。」

「おはようございます。」

あ、あれ?敬語になってる。ってことは怒ってるかも。なんで?

そう考えていると

「なんでソファーで寝てるんですか?」

そういうことか。ようは約束と違うと言っているみたいだ。

「ご、ごめん。なかなか寝付けなかったから……………」

「私の隣じゃ寝れないんですか?」

うん?これはちょっと怒っていることが違うかもしれない。

「ご、ごめん。マイが隣にいるって考えただけで、その……ドキドキして寝付けなかったんだ。」

「そ、そうですか。なら次からはちゃんと一緒に寝てください。」

「は……はい。」

最後は勢いに押されて返事してしまった。

ただ次からということはまた添い寝をしなくてはいけないのか。正直手を出してしまいそうで恐い。果たして僕は自分の煩悩に勝てるのだろうか。

そう考えていると朝食が運ばれてきた。

なんと国が用意してくれたらしい。本来は極秘の旅だから出来ないのだがせっかく英雄がいるのだからそれで王子を隠してもてなそうとしているみたいだ。せっかくきた他国の王子に何も出来ないのは心苦しいのだろう。

朝食は国が用意したということもあり、おいしいと話題のエイル産のものがふんだんに使われていた。

食べて見ると確かに他の産地のものに比べておいしかった。

朝食を食べた後、レクスたちと合流し馬車に乗り移動を始めた。

「昨晩は楽しめたか?ちゃんと避妊はしたのだろうな。」

レクスがニヤニヤしながら聞いてきた。

「そんなことしてねえよ!」

「なっ!避妊してないのか?まあお金に困ることはないと思うが……………」

「そっちじゃねえよ!そういう行為自体やってないから!!」

何故今ので避妊をしてないと勘違いするのだろうか。

「そうなのか?昨日の様子だとすぐにでもしそうだと思っていたのだが。」

「からかうのもいい加減にしろよ!」

「そう怒るな。次もまた2人部屋を用意してやるから。」

「だから……」

「ほう?お前はスタールと同じ部屋は嫌だと言うのか?」

「えっ?嫌なの?」

レクスはニヤニヤ、マイは今にも泣きそうな顔で聞いていた。

「そんなわけないじゃん。」

「本当?」

「うん、本当だよ。」

マイはホッとした様子だ。これで一件落着と思っていたのだが、

「ではやはり次も2人部屋だな。」

もう言い返すことが出来ないのでどうしようもない。僕の理性を信じよう。



これまた小国のとある一室。

以前と同じ人物達が話していた。

「なに?最上級を瞬殺されてしまっただと?」

「ええ、残念ながら。」

「本当に最上級だったのだろうな?」

「もちろんでございます。エイル王国に確認をとっていただいてもかまいません。」

「そこまで言うのなら本当か。他に作戦はないのかね?」

「当然ありますとも。今回は所詮一体。群れだとどうでしょうか?」

「しかし、瞬殺されたのだろう?」

「王子や兵などの足手まといを護りながらというのは難しいものです。」

「確かにそうだな。」

「しかし、いかんせん準備に時間がかかりますゆえ少々ギリギリになってしまうかもしれませんが。」

「そうか。出来るだけ間に合うように急いでくれ。」

「分かりました。それでは失礼いたします。」

怪しい人物は口元に笑みを浮かべながらその部屋を去った。

次回は次の国の話です。

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