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[元]面倒くさがりの異世界譚  作者: 空里
亜人大陸編
171/304

169話

大きくなったというのは比喩でも何でもなく本当に大きくなっていた。

「この姿にさせるとは・・・やるな人間」

そう言うとブマハチは今度は肉弾戦とばかりにすごい勢いで迫ってきた。

レクスは先程ブマハチが行った水流の操作を魔法で模倣し逆流にすることで急な接近を阻止する。

ノインもそれを見て真似をする。

二人の力を合わせた水流でも大きくなったブマハチの速さを殺しきることは出来ない。

それを見た二人は小声で次の動きの打ち合わせをする。

話し終わった直後、それを実行に移す。

回避動作をとりながら魔法の行使をやめる。

すると、当然ブマハチの速さが元に戻るが急な変化に本人自身がついていけず回避した二人の横を通り過ぎた。

水の抵抗の力なども借り無事に止まったブマハチが振り向くと二つの渦巻く水流が今まさに自分を覆いつくそうとしていた。それに対応することが出来ず巻き込まれる。

結果はブマハチの気絶。つまりレクスとノインが戦闘に勝利したことになる。



「よくあんな作戦思い付いたな」

「まあ、やられたらやり返すというやつだ」

ノインの問いにレクスはさも当然のようにそう返す。

「それ、カイが言ってたやつじゃん」

「そうだったか?」

ノインの指摘にレクスは若干の笑みをこぼしていた。

二人が帰る頃には祠に引き込むような水流はなくなっていたらしい。



サテュロスは一人担当の場所に来ていた。

今は獣人の王としての姿ではなく精霊王としての姿で来ている。

それは獣人の王の力は水中だと使い物にならない事と、獣人の王の姿で精霊の力を使うと精霊との混血ということがバレてしまうためだ。この海底よりはマシとはいえ獣人の国にもそういう古い考え方は存在し、権力を持つ年長者にその考え方の者が多い。

その古い考え方の中に獣人の王は純血の者でなければならないというものがある。

古い考え方というだけあって絶対そうしなければならない法律も掟もない。

ただし、そういう考え方の者は長命種の獣人にはどうしても多くなってしまうのだ。

先代の代で大分薄れたらしいが今でもそういう古い考え方はよく見かけるため以前がどれ程のものだったのか想像も出来ない。

もしかすると混血の自分は生きにくい環境だったのかもしれないと改めて考える。

そう考えると先代にはすごい恩がある。

肝心の先代はもうこの世にいないが兄弟子を助けるということが少しでも恩返しになるのではないかと考えていた。

もちろん獣人の王として見過ごせない状態だったということもあるが。


そういう思いを持ちながらもう近くに迫っていた祠に近づいていくのだった。

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