これが転生能力の正しい使い方だ!
この作品はフィクションです。
残酷な描写や描き方があります。
ご注意ください。
きっかけは25の時だった。飛び降り自殺。気を失ってから何も覚えてない。
最後の記憶は何故か格段に綺麗に見えた夕焼け。マンションのベランダ12階から飛び降りて即死、、だったらしい。わからんが、多分。まあ死んだからこうして生きているわけだし、、それも意味がわからんか。
今は死んだ一年前だ。転生したら毎回一年前にいる。規則性は死んだ日の一年前に転生する…だけらしい。
最初は勿論絶望した。自殺しても死ねない。いや厳密に言えば死んでいるんだが。
ああ説明がややこしいな。
とりあえず自殺しても転生してしまうから何回も自殺して死のうとしている。
今で、えーと…まあ50回は死んだな。そんな感じで死ねないんで死ぬ方法を工夫してエンジョイしてるところだ。
自殺した動機は飽きたから。
生きるのに疲れた、と言えばわかりやすいだろうか。まあ俺は今死ぬのに疲れているわけだが。冗談は置いといて、生きているのは息苦しいことばかりだ。
満員電車にクソ上司、残業。彼女はいないし、金もない。かと言って家族も貧乏で支援はなかった。
同僚にこんなこと言っても言い訳って説教されて終わったが。その通りかもしれん。だから死んだ。
言い訳して惨めな人生送るなら死んで全部チャラ、解消したかったんだ。死んだ後のことは考えてもなかったな。
ベランダでタバコふかしながらスマホゲームやってたら
あ、死んだらどうなるんだろな
って思ったんだ。本当に好奇心が9割って感じ。でも死にたいとは思ってたから4割くらいは本心かも。
んで目を開けたら一年前の自宅に居た。
床に落ちたゲームのコントローラーも散らかったテーブルもゴミだらけの玄関も変わらない俺の部屋。スマホはベッドの上にあって、一年前の同じ時間。つまり逆一周忌だな。
そっから何度も死んだ。
2回目の自殺は同じく飛び降り。んで3回目は怒りながら包丁で首をブッ刺した。
4回目はまた飛び降り。5回目、6回目も飛び降り。7回目以降はなんだか怒りより面白さが増してきたんだ。
なんだろうな。例えるなら、最初上手くいかなかった仕事が軌道に乗った感じ。
だから7回目は電車に飛び込んでみた。こう言うとバカッターみたいだが。
いつも駅はウザかったんだ。うるさいし、リア充はイチャイチャしてるし、若い奴らはいいもん着てかっこつけてるし。
正直殺してやりたかった。でも捕まって拘束されんのも嫌だった。
この世は理不尽だよな。実らない努力と実る努力がある。それは人によって違うらしい。
だからそいつらの前で特急列車に飛び込んでやったんだ。笑いながらな。停止した視界の中で最後に見た景色は運転士さんの引き攣った顔。
だから飛び込みはやめた。あのリア充を引き攣らせたかったのに、何の恨みもない人を巻き込んだからな。
運転士がリア充かどうかは置いといて。
8回目以降は学習してリア充しかいないとこで自殺ショーしてやった。
例えば志部谷のハチ公前で薬一気飲みした状態で猛ダッシュとかしたな。結構興奮した。
案外人に見られんの好きなんかもな。最後の景色はバカ共の驚いた顔。転生してから部屋で笑い転げてた。
転生には一つだけ気をつけねーといけないことがある。
俺の命日である2023年の2月15日を超したら勝手に飛び降り自殺してる場面に持って行かれること。真っ逆さまな状態からスタート。すぐ気を失うから痛くはねえが。
つかこの輪廻から抜け出せないのも困ってはいる。
あと転生後に早く死にまくったら歳がどんどん若返る。流石に大学生には戻りたくないから一応自殺する日は2023年のどっかにしてる。命日は気分次第。
前回は風呂場でリスカしてから湯船がどれくらい真っ赤になるのか検証してたら死んだ。自殺というか事故に近いが…これも転生した。
俺は今最高に楽しんでいる。夜中の河川敷で考える死に方は結構乙なもんだ。
ありがとうございました。