ランドセル聖女の秘密
第四回なろうラジオ大賞参加作品第十二弾!
「おおっ! やった!」
「聖女召喚に成功したぞ!」
教育機関に向かって登校している時だった。
私の足元で突如、発光する謎の紋様……おそらく、私がいた世界で言うところの象形文字に該当する何かが、物理法則を無視して展開し、気が付くと私は見知らぬ場所に移動していた。
見る限りそこは、教会に酷似した場所。
馬鹿な。
まさか空間転移したというのか。
それも最近流行りの異世界転移……いや異世界召喚か、今回の場合は。
移動した先にいた、恐ろしく顔が整っている……美しくなるよう、遺伝子操作を受けたとしか思えんほど綺麗な男達の台詞からすれば。
しかも、聖女だと?
私がか……そんな馬鹿な。
私は一応女子小学生だぞ。
流行の異世界モノ……今回のパターンに当て嵌まるであろう召喚聖女モノも無論読んでいるが、普通そういうのは中学生以上の女性が召喚されるのでは?
「おい、思ったより幼い気がしないか!?」
「ホントにこの少女が聖女なのか!?」
やはりな。
通常とは異なる異世界召喚だったようだ。
「見た目……六歳くらいか?」
「前代未聞だぞ、この幼さは」
「あのぉ」
だが、無言でいるワケにはいくまい。
私にはやらねばならない事があるのだ。
早く帰るためにも、できるだけ早く、この世界での厄介事を解決せねば。
※
「ようやく解放された」
用意された部屋で、ランドセルを背負ったまま安堵する。
この世界の摂理その他諸々についてをなんとか理解し、そして聖女としての役目は明日から開始する事になり……私は用意された部屋で、休む事になったのだが、そんな私に御付きの女性が何人か付きかけ、さらには荷物をお持ちします、などと言われたのだが……こうしてなんとか追い払い安堵しているワケだ。
「やれやれ、蒸れるんだよなこの中」
そして私は右手を操作し、頭の天辺にあるボタンを押し……頭部にある扉を内側からパカリと開けた。
私の名前はエルカ。
地球から遠く離れた惑星の住民。
地球では古来より小人や妖精として認識されている存在。
今回私は地球の教育機関の調査のため地球に派遣され、そして今まで女子小学生型のロボットを中から操縦し、ようやく今日、諸々の手続きを終えて小学校に登校するハズだった。
しかし異世界に召喚され、その予定も狂いそうだ。
仕方ない。ここはランドセルに擬態させた私の宇宙船――内部の空間を操作し、四次元化しているそれの中に入っている数多の異星道具を使い、この世界の問題を早めに解決しますか。
「ッ!? え、エルカの反応が……消えた!?」
「い、急いで例の星へと誰か派遣しろ!」