第18話:邂逅する両者
アレンが何気なくその影が見えた方を振り向くと、横にそれた路地から白いフードをかぶったマント姿の人物が飛び出すように視線の先に現れていた。
フードの人物が右手をかざした瞬間、
「――おらぁっ!」
相手の手のひらから炎が発動したのと、アレンが通りに備えつけられていた消火栓の安全装置を破壊したのはほぼ同時であった。
同地点で二つの爆発音が鳴り響く。
「きゃあっ!」
「な、何だぁっ!?」
突然、自分達の近くで爆発が起きたことにより、パニックに陥る通行人達。
装置を破壊された消火栓から勢いよく水が放出され、一本の水柱が盛大に空へと舞い上がる。
元々能力者による放火から人々を護る用途で使われるこの特殊な水は、フードの人物が仕掛けた攻撃がアレンを包み込むよりも先にそれを消火した。
豪雨並みの大量の水がまき散らされ、辺り一帯に降り注ぐ中、アレンは路地の方で唖然とした顔で立ち尽くしているマント姿の人物を見た。
恐らく、能力の発動時に生じた爆風でフードが飛ばされたのだろう。
そこには、ややつり上がった目つきに、黄色掛かった緑色の瞳。血を連想させるような暗い朱色の髪を持った少年の姿があった。
「……っ!」
顔を見られたことに気づいたのか、少年は右腕で顔を覆い隠すと、踵を返して路地の奥へと走り去っていった。
「おい、一体どうした!?」
爆発音を聞きつけたのだろう。通りの奥から慌てた様子のジンがこちらに向かって走って来るのが見える。
「……あーあ。ずぶ濡れになっちまったじゃねえか」
そうぼやきながら、アレンは着ていた上着を脱ぎ、裾を絞った。
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