一話 平和な世界の裏側で。
荒れ果てた市街地に色の付いた線が4本。
建物と建物を移動しながら、一体の人型の怪物に向かっている。いや、正確には4人の少年、少女達がかなりのスピードで移動をしていた。
「……肉眼で目標を発見。作戦を開始する。」
「「「了解」」」
さっきまで綺麗に並んで移動していた4本の線が別々に動き始める。『黒』い線はそのまま真っ直ぐに。
『緑』と『赤』の線は左。そして、『黄色』の線は右に進む。
少し進むと、真っ直ぐ進んでいた『黒』の線が怪物の目の前の建物の屋上で急停止する。
「目標地点到着。今から『創造』を開始する。」
『黒』く発光しているスーツを身につけた17歳くらいの少年が、腰に付いているポーチから粘土状の銀色の物体を取り出す。
「・・・・。」
少年は、取り出した物体を両手で包み、目を閉じた。
……鳥……羽……
すると、その物体がぐにゃぐにゃと動き始め、少年の背中へと移動し始めた。
背中に移動した銀色の物体は、次第に形を安定させ、気づくとまるで鳥の羽のような形になり、少年の背中に張り付く。
目を開いた少年は、一瞬後ろの羽を確認し、勢いよく飛び降りた。
「今から攻撃を仕掛ける。援護してくれ。」
空中で落ちる中、羽の一部が変形し、槍のような形に変化する。少年はそれを手に取り、真下の怪物へと向け、一直線に突っ込んでゆく。そこでようやく真上の少年に気がついた怪物が、うなり声を上げ、手から炎のようなものを出し、真上へと手を向けようとする……が腕に銀色の糸のような物が絡まり、上げれない。
「させねえよ!」
左に展開していた二人の内の一人、『緑』色に発光したスーツを着た片足の無い少年が銀の物質を糸状に変形させ、怪物の腕を固定させ、動かなくさせていた。
「助かった。」
黒に発光しているスーツを着た少年がそう言い、羽をはばたせ更に勢いをつけて怪物へと向かう。
「終わりだ。」
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