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最強の二人

 さすがにループ四周目となると、エンシェント・デーモンの扱いにも慣れてきた。

 最初は一体一体がダンジョンボスのように強く、しかも同じパターンが通用しないという脅威に思えていた。

 しかし、慣れてくると種族としての特徴――そして、各自の個性のようなものも見えてきたのだ。

 いつも一体目として遭遇する鉄壁の門付近のエンシェント・デーモン。

 この個体は自分から敵を発見したときは強気だが、逆に攻められたときは気が動転してしまう。

 一瞬で近付いて攻撃すれば良い。


『ゴァッ!?』


 二体目のエンシェント・デーモンは少し皮膚が硬い。

 ルーの攻撃のあとにミースが追い打ち、さらにルーが攻撃すれば丁度倒せる。


『ゴグァ!?』


 三体目のエンシェント・デーモンは戦闘能力が高いのだが、意外と察知能力が低く静かに移動すれば躱すことができる。


『……?』


 四体目のエンシェント・デーモンは鋭い感覚を持つのだが、注意力が散漫だ。

 ミースが盾で気を引いてから、ルーが短距離転移で死角を攻撃すれば良い。


『ゴゴッ!?』


 それからも各個体に合わせた対処をして、ほぼ無傷でボス部屋となっている制御室へ到着した。

 ルーは自らの身体を眺めながら呟いた。


「前回はあんなに傷だらけだったのに……」

「ループする場合のことを考えて、きちんと敵を覚えていましたから」

「うん、やっぱりミースをパートナーに選んで正解だった」

「パートナー?」

「あっ、言い間違い! 共有者な! きょーゆーしゃ!」


 三周目の時は暗中模索で雲を掴むような状況で心に余裕はなく、身体も生傷が絶えなかった。

 しかし、四周目の今回は心身共にベスト――最強の状態と言えるだろう。

 二人は千載一遇のチャンスを掴むためにボス部屋へ突入した。

 待ち受けていたのはこれまでに戦った事の無いような強者である片角王だ。

 今はその片角王相手でも負ける気がしない。


『吾輩はエンシェント・デーモンの長、片角王』


 片角王がビリビリと空気を震わせるような名乗りを上げる。

 今回は臆さず勇ましく答える二人。


「俺は成長の英雄ミース・ミースリー!」

「十剣人が跳躍侯、風竜人のルー!」


 ――推して参る! という言葉が三人の口から同時に宣言され、本拠地ダンジョンボス戦が開始された。

 まずは前回と同じようにミースが盾を構えながら、どっしりと構える片角王に近付く。

 射程圏内。

 片角王の剣がミースをなぎ払おうとした。


「そこだ!」


 その動きを先読みして、ミースは盾を片角王の顔面に向かって投げつけた。

 片角王の頑強さなら盾が当たったくらいではビクともしないだろう。

 だが、死角は出来る。


「ファーストアタックは頂いたよ!」


 ルーは小さな身体を生かして、盾の後ろに短距離転移。

 片角王の眼球にナイフを突き立てる。


『グゥオォォ……!?』


 片角王は混乱していた。

 盾の裏に隠れるという選択肢は、普通に考えて愚策だ。

 いくら短距離転移特有の気配を盾によって遮断できるとはいえ、盾のことを邪魔だと思って切り払われたらひとたまりもない。


『盾をなぎ払わないことに賭けたというのか……!?』


 ミースからしたら、片角王の頑強さは知っているので盾がぶつかる程度はスルーして、攻撃を続けるだろうと読んでいたのだ。

 情報こそが武器。これがミースの分析と、ルーの【創世神の左翼】で二人が協力した強みである。


「隙有り!」


 眼球を突き刺されたことによって、ミースを狙っていた片角王の剣が大きくブレた。

 ミースは難なく回避をして、その懐に飛び込んだ。


「新式・九の聖光搦げ邪滅す刃ナイン・ホーリークルス!!」

『ぐぬゥゥ! その力は懐かしきあの神の……!』


 神気を纏った輝きが奔り、目にも止まらぬ十字の連撃が煌めく。

 片角王の丸太のような両腕を斬り割いた。

 その巨体は動きを止め、いかにも攻撃のチャンスだという状況になる。

 ルーは攻撃を続けた。


『それでは、こちらも礼儀として本気を出すとしようではないか……!』


 咆哮する片角王、新たに二本の腕を生やし、腹に大きな口を出現させた。

 前回見た変身だ。

 そのままルーを掴もうとしたのだが、彼女の姿は一瞬にして消えていた。


「その手には乗らねーよ! このまま一気にやらせてもらう!」


 普通なら意表を突かれて掴みからの即死攻撃に近いが、前回の経験からすぐに身体を反応させたのだ。

 しかし――ここからが未知の領域。

 本番だ。


『構わぬ、構わぬぞ……。吾輩は原初の悪魔王、ならば原初の権力というモノを見せてやろう……!』

「原初の権力……?」

『悪魔、人間に限らず、生物は何をもって王を選ぶか。血筋? 財産? 地位? 名誉? 否、そのようなくだらないモノは後付けにすぎぬ。種族という群れの頂点に立つシンプルな理由、それは力だ! 力こそ権力! 力こそがすべて!』

「はっ、少し幻滅するな! ルーはもっと愛とか優しさとか賢さとか、そういうのかと思ってた!」

『力無き者は蹂躙され、一方的に悪と断じられる! そこには愛、優しさ、賢さなど無に等しい!』


 ルーは風竜人の集落が一方的に蹂躙されたことを思い出し、少しだけ同調するかのように苦笑した。


「たしかにそうかもしれない。……けど、今のオマエは蹂躙する側だ。ルーは一生懸命、抗わせてもらう。このクソッタレな運命にもな!」

「片角王。申し訳ないですが、俺たちにも守るべきものがあります。こちらも力で対抗させていただきます!」

『受けて立つ、全力で来い!』


 ミースたちにとって、ここからは油断できない盤面だ。

 形態が変わってから、明らかに片角王の魔力が増大している。

 最初から頑強だった外殻は通常攻撃ではダメージが入らないと考えていいだろう。

 ルーの竜気を纏ったナイフである程度通り、ミースの全力の攻撃スキルで大きな一撃を与えていくしかない。


「新式・九の聖光搦げ邪滅す刃ナイン・ホーリークルス!!」

『そのスキルは一度見たわァ!!』


 スキルの間合いが読まれ、カウンターとして片角王が剣を放ってくる。

 これなら両者が同時にダメージを受けたとしても、耐久力の差でミースが一方的に叩きつぶされるだろう。

 必死にルーがフォローに入り、片角王の腕を斬りつけて中断させる。

 それと同時にミースの攻撃がヒットして、片角王の硬い外殻を斬り割くことに成功した。


『グォ!? ちょこざいな!!』


 片角王の剣は一瞬遅れ、軌道がブレてミースの横をかすめるだけとなった。

 それでも微かに触れた魔力が、ミースの身体をゴミくずのように吹き飛ばす。

 衝撃、耳鳴り、平衡感覚がおかしくなりそうだ。

 床に鞠のように数回バウンドしてから、ようやく止まった。


「ミース!? 大丈夫か!?」

「いたた……ちょっと骨にヒビが入ったくらいだと思いますが、それとは別に【創世神の右手】の反動でしばらく動きが鈍ります……。復帰まで再びのフォロー頼みます」

「わかった! ルーに任せろ!」


 当然のように片角王は動きが鈍ったミースを狙おうとしてきたのだが、うまく短距離転移とフェイントを織り交ぜながら攻撃してくるルーも無視できないようだ。

 一撃が小さいとはいえ、確実に外殻を貫いてきて積み重なればジャイアントキリングにもなり得る。

 そのために動きが鈍ったミースでも、回避だけに集中すれば生き残れる状況となっている。


(ルーさんが部屋すべてを使って撹乱してるから、中の設備がメチャクチャになってるな……)


 ハインリヒが重要そうに話していたレッドハートの台座も壊れていたが、レッドハート自体は地面に転がっているだけで平気そうだ。

 そこでふと思いついて、レッドハートに手を触れて【装備成長】を使ってみると、表示が変わっていることに気が付いた。


【装備成長レベル5(レア度Fスキル):レベル1,ダンジョンドロップ品を同種合成させて強化する。レベル2、装備品以外のアイテムにも適用できるようになる。レベル3、魔石による付与効果を得る。レベル4、合成品に修復機能(小)が付く。レベル5、合成品が壊れにくくなる】


(あれ? いつの間にかスキルレベルが4から5に上がっている……? これなら前回のワールドクエスト報酬の金色の魔石を合成――は……ダメだ。まだスキルレベルが足りない。それに台座とセットじゃないと本領を発揮できないのか……?)


 ミースがこの情報を得たのは念のため(・・・・)だ。

 どうしても老練伯アルヌールの『ワシが悪魔側だったのなら、この絶好のチャンスは逃すまい』というアドバイスを鑑みてのこと。

 しかし、今は目の前の戦いに集中しなければならない。

 着実に問題を一つ一つ潰していかなければ、未来というモノは掴めないのだから。


『これで終わりだ、気高き風龍神の末裔よ!』

「ちぃッ!?」


 今まさに、転移後の隙を狙われているルーがいた。


「危ない! ルーさん!」


 ミースはそこに割り込み、迫る片角王の剣をいなす。

 それは盾ではなく、銀の剣+99で――だ。

 盾を使った経験で角度、力の入れ方などのコツを掴み、それを銀の剣+99で再現しているのだ。

 本当ならかなりの技術が必要だが、今はやってみせるしかない。


(一撃が途方もなく重い……!! スキルレベル5の効果で合成品が壊れにくくなってもギリギリか!?)


 剣同士が滑り、削れ、赤い火花を散らしながら交差する。

 それと同時に戦場の俯瞰を意識し、片角王とも視線を交差させた。

 互いに見るは、目を爛々と輝かせる戦人(いくさびと)


『ぬぅん……!』


 直後に隙を許さぬ二撃目。

 今度はミースを狙ってきたものなので、大きく後ろへ離れて躱す。

 剣をいなすことだけに集中しすぎていたら確実に真っ二つにされていただろう。

 今までのループで戦闘経験が上がってきていると実感する。


(そうか、もしかしてスキルレベルが上がっていたのはループのせいか……)


 そんなことを頭の片隅で考えつつ、片角王からは目を離さない。


「ミース、助かった」

「いえ、俺も助けられてますから」


 片角王は強い。

 たぶん、次のループに持ち越したとしても、他のザコと違って楽に倒せる相手ではないだろう。

 故にこの先のことを(さか)しく考える余力はなく、意味がない。

 ここが――片角王を倒したらゴールだと思わなければならないのだ。


「そろそろ次を放てるようになりました。ルーさん、いきましょう……!」

「うん、わかった! ――片角王! オマエを倒して神殺しの団(ラグナレク)の危機を救わせてもらうよ!」

『……そうか』


 一瞬、片角王は哀れみの表情を見せた気がする。

 嫌な予感がするのだが、今のミースにそれをどうこうする余裕はない。

 目指すのは最大の一撃を叩き込むだけだ。

 それ以外はすべて捨てろと自らの血が警鐘を鳴らす。


『潰れろ! 砕けろ! 千切れ飛べい!!』


 リーチの差から必然的に片角王の攻撃が先になる。

 片角王は重い一撃を連続で繰り出してくる。

 空気が震え、地面が揺れる。

 それは竜巻や地震と言った自然災害のようだ。

 その強大すぎるエネルギーに身震いしてくる。

 (おそ)れ、ではない。


「面白い……面白いぞ……片角王……!!」

「ミース……?」


 血が熱くなる、血が蠢く、血が支配する。

 古き強者と本気で相対して、ミースの奥底で何か眠っていたモノが唸りをあげるようだ。

 血が戦いを求めている。

 殺し殺される最高の舞台に恍惚感すら覚える。

 ……ふと、心配そうなルーの表情が視界の隅に映る。


「……くっ、今は一人じゃない……。血の滾りを制御しなければ……」


 いつの間にか【創世神の右手】が使用状態になっていた。

 それも剣にではなく、自らの身体が対象となっている。

 全身から神気というものが噴き出しているのだが、長くは持たない。

 しかし、同時に制御さえすれば、何かを見いだせそうな気がしていた。


「仕掛けます!」

「ミースに合わせる!」


 片角王へ距離を詰める。

 当然、それを巨大な剣が狙ってきた。


「これなら……いける!」


 片角王が振り切る前、回避や防御ではなく――瞬時に近付く。

 懐に潜り込み、銀の剣+99で攻撃を仕掛ける。


『もう一人に感化されて速くなったか……!? 人間よ!!』


 片角王は辛うじてもう片方の剣でミースの一撃を防いだ。

 その隙にルーが短距離転移で近付き、細かく攻撃を当てる。

 片角王はいったん後ろへ下がった。

 その額に脂汗を浮かべ、初めての防戦を見せている状況だ。


『人間……いや、本当に人間か(・・・・・・)……?』


 それはミースに向かって言われたことだったのだが、今は気にしている暇はない。

 ミースは再び距離を詰める。

 武器を強く握りしめ、自らが刃となるような感覚に身を任せる。

 片角王の重厚な一撃――しかし、それを避けない。

 信じられないことに、剣で思いっきり弾く。

 金属が砕けるかと思うくらいの剣戟が響き渡る。


(ああ、懐かしい……フェアト先生と打ち合いをしているときのように心が安らぐ……。真の強者と戦う時、雑音が消える)


 極限の集中力、身体を限界まで酷使する神気、それらが合わさって片角王と互角に渡り合っている。


「ミース! 無茶だ! 一メートル以上も体格差があるんだぞ!?」


 ルーが叫びをあげるも、ミースの耳には届いていないようだ。

 それに今止めたら、確実に片角王の剣がミースを殺すだろう。


「くそっ! 二人だけで楽しくやりやがって……! ルーだってな……ルーだって……!」


 奇跡的に拮抗した両者。

 それを動かすのは、小さな力でいい。

 ルーは観察する。

 短距離転移というのは単純そうに見えて――その実、観察の積み重ねだ。

 どの座標に跳ぶか、どのタイミングで跳ぶか。

 相手の視界、動作、呼吸などを考えながら選ばなければ、相手の攻撃範囲に無防備で飛び込むことになる。

 ルーの父もよく観察をしていた。


(思い出せ……あの姿……。思い出せ……これまでルーが神殺しの団(ラグナレク)で経験したこと……。思い出せ……思い出せ……。そしてルーの、ルーだけの動きにしろ……)


 見えた。

 凄まじい剣の暴風の隙間、片角王の意識の空白。

 そこに身を縮めて短距離転移――ルーのツインテールの片方が斬り割かれて飛んでいく。

 片角王がそれに気が付いたが、もう遅い。

 すべての竜気をナイフに込めて風の刃を形成する。


「ウィンドストライク!」


 それは気高き竜の爪のように片角王へ深く突き刺さった。

 その凄まじい貫通力は片角王の胴体を串刺しにしている。


『見事だ……だが……』


 片角王は踏みとどまった。


「そんな……!? 位置的に心臓だぞ!?」

『王は心臓を貫かれた程度では膝を屈さぬわ……!』


 それは死に際の虚言ではなく、どうやら本当らしい。

 動きに一切の衰えがない。

 片角王の剣がルーに振るわれようとしたところで、ミースの準備が整った。

 神気を銀の剣+99に集中させる。


「勝利を創り出せ――【創世神の右手】」

『そうだ、それでいい……』

「大罪を斬り裂け――新式・九の聖光搦げ邪滅す刃ナイン・ホーリークルス!!」


 ルーの作りだしたチャンスによって、ミースはほとんど密着するような形で攻撃スキルを放った。

 神気の込められた十字の連撃が片角王の身体を斬り刻んでいく。

 刃の届き具合は今までの比ではなく、臓器にまで深く達している。

 それでも片角王は立ったままだ。


「そんな!? まだ耐えるのか!? ミース、逃げろ!!」


 大きな隙ができてしまっているミースは、次の一撃が来たら生きてはいないだろう。

 絶体絶命――かに思われたが、ミースの表情に焦りはなかった。


「ありがとうございました。何か掴めた気がします」

『そうか、吾輩も楽しかったぞ。次の(・・)吾輩とまた戦うことがあったら、さらなる成長を見せてくれ』

「も、もしかして気付いて……」

『動きでわかる。遠き昔に繰り返しの御業は使われたこともあるのでな……。だが……遺憾ながら、これで終わりだ』


 片角王は最後まで武人の表情で、立ったまま魔素となって消滅した。


「片角王……手強い相手だったな……。って、どうしたんだ、ミース?」


 ダンジョンボスである片角王を倒したことにより、徐々にダンジョン化が解けていく。

 この部屋も元の動力室に戻っていく途中だった。


「いえ、最後の言葉……これで終わりというのが気になって……」

「自分が死んで終わりという意味なんじゃ……?」

「そうだといいのですが……」

「心配しすぎだって! はぁ~……やっとこのループで終わりだ! 次なんて必要なかったな! あ、一応みんなのデバフが治ったか確認するか。たしかここから通信ができるはず」


 空中に透明なウィンドウが開き、十剣人たちがいる部屋――耳の大地が映し出される。

 全員が無事な姿が見えた。

 エンシェント・デーモンが殺到するまでの時間的にも余裕はあったのだが、実際にこの目で確かめることができてホッと一安心だ。


「お~い、みんな! ルーとミースでダンジョンボスを倒したぞ! どうだ、すごいだろ! ダンジョン化も解けたみたいだし、これでデバフも解け――」

『……跳躍侯、何を言っているのかはわからないが……デバフはかかったままだ……』

「え?」


 ウィンドウに映し出されたのは困惑気味のレッドエイトと、無事だが動けないままの十剣人たちだった。


「え、なんで……ダンジョンボスを倒したらすべて解決なんじゃ……」


 そう力なく呟くルーを見て、ミースは冷静になっていた。

 この状況も考えていたからだ。

 ダンジョン化はボスを倒せばほぼ確実に解決するが、もしデバフがそれとは関係なかったら……?

 可能性は考えていた……考えていたが、その場合はどうしようもなくなる。

 賢王ナバラの言うことには、このまま身体が弱り続けてすぐに死を迎えるという。


「ど、どうすればいいんだよ……ミース……なぁ……」

「ルーさん……」


 何も出来ない。

 そう口には出せないが、ミースの表情から察してしまったらしい。


「まだ……まだ……何とかなるんだろう……? なぁ、そう言ってくれよ……ミースなら……ミースならさ……」

「それは……――くっ!? なんだ!?」


 地面が大きく揺れた。

 ウィンドウの向こう側もそうなっているため、この本拠地全体が揺れているようだ。

 新たなウィンドウが開き、外と思われる場所が映し出される。

 そこには超巨大な〝何か〟が映っていた。

 ルーはそれを見て目を見開き、震え上がった。


「あ、あああ……アレは風竜人の集落を滅ぼした……ルーの父を殺した……悪魔……」


 ウィンドウに映る〝何か〟が山サイズの手を振り下ろすと、ミースたちがいる本拠地内も大きく揺れた。

 今度は攻撃に耐えられず、崩れ、倒壊し、神殺しの団(ラグナレク)は終焉を迎えた。

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