第二章エピローグ さらば成長の町ツヴォーデン
スタンピード解決からしばらく経ち、ミースたち三人は卒業証書も受け取って成長の町ツヴォーデンから離れようとしていた。
学友や関係者たちが大勢、別れを告げるためにやってきている。
その中にはオーロフもいた。
「クソミース、それなりに元気でやれよ」
「オーロフこそ、実力は付いてきたんだから、あとは座学も頑張りなよ」
「けっ、言うようになったじゃねーか!」
オーロフはミースにヘッドロックをかけてじゃれ合い始めた。
その横で乙女の表情をしたマルトが、ゼニガーに泣きついている。
「ゼニガー! どうしてワタシの愛を受け入れない!?」
「あ~……えーっと……そ、そうや! 他に好きな奴がおるんや! いや~、残念! タッチの差やったな!」
「ぬぐぐ……でも諦めない! いつかワタシを好きにさせる! ダイエットも頑張る!」
「は、ははは……」
今にもゾンビになりそうな青ざめた表情のゼニガーだった。
さらにその横では女同士の静かな争いが繰り広げられている。
「……プラムミント様、わたくし……諦めませんわ……」
「何のことを言っているかわからないけど、もう勝負はついてるわよ……セレスティーヌ……」
火花がバチバチと散っていて、周囲に飛んでいる精霊も震えていた。
そんな中、オーロフが気が付いた。
「んん? そういえばゼウスクラスの教師……ルイン先生はいねぇのか?」
「あ~、ルイン先生はもう数日前に出発しちゃったみたい」
ルインは十剣人の二人と共に先に出発していた。
出発するときの言葉は『ハインリヒ様ぁ~! 貴方のルインが今行きますからね~!』という似合わない猫なで声だった。
「そ、そうなのか……」
少し呆気にとられるオーロフだが、コホンと咳払いしてから表情を作り直し――
「それじゃあな、今度会うときはオレがお前をリードしてやるぜ。待ってろよ、成長の英雄!」
「ああ、楽しみにしてるよ。未来の騎士!」
未来ある若い二人は、ハイタッチを鳴り響かせて別れを告げた。
***
――一方その頃、神殺しの団本拠地。
血溜まりの中でルーが絶望の表情を見せていた。
「そんな……本拠地にいた十剣人が……そんなことって……」
周囲には十剣人――だった死体が無惨に転がっている。
「ルー以外の十剣人が全員死んだなんて……」
十剣人以外の通常団員たちも首を引き抜かれ、臓物を引きずり出され、四肢を千切られていた。
今や本拠地の中で生きている人間はいない。
徘徊しているのは〝彼ら〟だけだ。
それらがルーへ群がってきている。
「もう一度やり直せたら……お馬鹿なルーより頭の良い誰かがいれば……そのときは――」
この世界の神殺しの団は消滅した。
第三章はプロット作成済み、本文は鋭意執筆中なのでお待ちください。
それとお願いなのですが、第二章完結とキリがいいので、評価やブクマなどでポイントを頂けたら作者のモチベーションに繋がります!