書籍版2巻決定記念幕間
この幕間は『第二章エピローグ さらば成長の町ツヴォーデン』辺りの話となります。
「えっ、わたくしに取材ですか!?」
セレスティーヌは驚きの声をあげていた。
それはケイローン冒険者学校の校舎内の出来事だ。
突然、理事長のメラニ・ケイローンが話しかけてきたと思ったら、取材をしたいと言ってきたのだ。
なぜそんな偉い立場の人間が、生徒のセレスティーヌに取材という行為をしているのか? というので意味がわからなくて驚いてしまっている。
「はい、新聞部が一連の事件を知りたくて、関係者へ取材をしているようでしたから――」
メラニは実年齢よりもかなり若い――具体的にはミースやセレスティーヌと同年代に見えるのだが、普段よりもずっと柔和な表情でニコニコしているのでさらに子供っぽく見えてしまう。
「面白い恋愛話を生徒から聞けるかな、と思いまして」
「は?」
ワクワクしているメラニはもはや子供というより、女児のようだった。
自ら取材に来た理由が、生徒の色恋沙汰目的だという。
セレスティーヌは呆然としながらも、メラニは目上の人間なので取材を受けるしかない。
「メラニ理事長。わたくし、マジメに取材に答える方向でやりたいですわ……」
「あら、残念ですね」
本当に残念そうにしている。
理事長としての普段の顔は嘘なのではと思ってしまう程だ。
「じゃあ、セレスティーヌ君。ミース君との出会いについて教えてくれますか?」
「はい、それは始まりの街アインシアのダンジョンでの出来事でした。わたくしと、オーロフさんと、マルトさんはボスに敗北したところ、ミースさんが助けに来てくれて――」
思い返せばあの時の自分は本当にダメな時期だった――とセレスティーヌは思ってしまう。
没落貴族が家を建て直すために、道具として使い棄てられた娘。それが自分。
それでも結果がまったく出せずに性根が腐っていたとき、ミースという光と出会ったのだ。
「ふふ、さすがあの人の教え子ですね」
「メラニ理事長?」
「何でもありませんよ。さぁ、どんどん話してください。あれだけ仲が良さげだったのだから、もっと色々とあったのですよね?」
「じ、実は……そこからはこの成長の町ツヴォーデンで再会したくらいで……」
「あら? 意外と一緒にいた時間は短いのですね。でも、恋愛に時間は関係ありません!」
「メラニ理事長~?」
メラニは、完全に他人の色恋に興味を持つ少女になっている。
セレスティーヌもそういうのは嫌いではないが、興味を向けられる側というのは慣れていない。
なので、割とマジメに冒険者学校であったことを話していく。
「うーん、なるほど~……。それではあの人ゆずりの朴念仁ミース君には届かないですね~……」
「メラニ理事長、マジメに取材をしないと新聞部の生徒が泣きますわ……」
「理事長という枯れた立場に潤いを求めているだけです。きちんと新聞部向けの取材内容もあとで渡すので」
立場ある大人って大変だな、と思ってしまった。
「セレスティーヌ君は、もっと直球で告白しても良いのではないでしょうか? たとえばもっと大胆に肌を見せて迫るとか」
「それもしてみたのですわ」
「えっ!? した!? 何を!?」
「あっ、今のは……えっと……無しで!! 取材NGですわ!!」
興奮気味に食い付いてきたメラニを、セレスティーヌは脱兎の如く逃げて躱したのであった。
【速報】親ガチャ大逆転の小説書籍版二巻が発売決定です!
というか具体的には約一ヶ月後の6月2日、紙・電子で発売予定となっております!
今回の大きな描き下ろしシーンは、セレスティーヌがミースに迫るというものになっています。
ぶっちゃけちゃうとサービスシーンですね。
一巻に続き、素晴らしいイラストは桑島黎音先生となっていて……あとは、わかるな?
冒険者学校の制服になっているミースやゼニガー、プラムのお馴染みの仲間たちに加え、十剣人からはルーが出たりしています。
ルーの衣装指定大変だった……。
そして例のエピローグがカットされずに入っているのでご購入していただき、さらに続刊されると三章に繋がって嬉しいですね。
ぜひ、発売日にお手にとって頂ければ幸いです。
ではでは、たぶんまた一ヶ月後に宣伝用の幕間を投稿しにくるので、そのときにまたお会いしましょう!