表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/126

サンドワーム退治

 早朝――冒険者ギルドでエアーデから正式な依頼書をもらい、ミースは砂漠へやってきていた。


「エアーデさん、年齢のことを気にしていたな……。たしか三十歳は過ぎていたと思うけど、当時とあまり外見は変わらないような……」


 エアーデの並々ならぬ努力によって保たれている外見などつゆ知らず、ミースは砂漠にサクサクと足跡をつけていく。

 依頼書によると、どうやらドライクルから南に少し進んだ場所にワンドワームの巣ができてしまっているらしい。

 そのサンドワームが町の方まで移動してくると危険なので、先に退治しておこうというクエストだ。


「サンドワームか~……懐かしいな」


 十年前、始めて砂漠で戦ったのもサンドワームだった。

 あのときと同じ銀の剣+99で戦うことになるとは感慨深いものがある。


「もっと強い武器に変更できてればよかったんだけど、もうダンジョンが使えなくてドロップ品も流通してないからなぁ……」


 悪魔たちによってダンジョンが封鎖され、その余波でドロップ品も出回らなくなった。

 結果的にドロップ品を使う【装備成長】も使う機会がなくなったというわけである。

 ひたすら素振りを繰り返してスキルレベル5→6になって、同種合成だけではなく異種合成が可能になったのだが、それも試す機会がなくなってしまった。

 もう残っているのは身につけていた防具と、銀の剣+99だけだ。

 スキルレベル4の自然修復がなかったら、ここまで長持ちもしていないだろう。


「今はある物で戦わないとな。それに素振り以外の実戦もして、(きた)るべきに備えて……」


 途中まで言って頭を振る。

 考えてはいけない――〝未来〟と〝過去〟のことは考えてはいけない。

 今は〝現在〟のことだけを精一杯しなければならないのだ。

 そうしないと――……。


「っと、丁度何も考えずに戦えそうな相手がやってきた。……ありがたい!」


 巣のテリトリーに入ったミースを察知したのか、サンドワームがやってきた。

 その数はなんと十。

 蠢く巨体が肉の森を思わせる。

 ミースは銀の剣+99を構えた。

 十年間続けてきた素振りの構え。

【創世神の右手】や〝守ノ照(かみのて)〟も使わない。

 ただの素振りの構えで待ち、飛びかかってきた一匹に向かって銀の剣+99を振る。


「以前は体液を喰らって麻痺で大変だったけど――」


 剣風が砂漠を別つ。

 それはまるで神話で海を割る伝説のようだった。

 たったの一振りでサンドワームの巨体ごと真っ二つだ。

 凄まじい風圧で体液もかかっていない。


「うーん、あんまり鍛錬にならないな」


 ミースはため息を漏らしながら、カフェの仕事をこなすよりも力を入れず、剣を振るう。

 二匹目、三匹目とサンドワームがなます切りにされていく。

 もはや人間業ではない。

 人の形をした剣の修羅だ。

 剣に乗る想いは迷いがなく、魔力で強化された銀の剣+99は何者をも斬り裂く。

 三十秒も経たずにサンドワームは全滅させられていた。


「あとの細かい調査は任せていいって話だし、これで終わりかな――……ん?」


 砂漠の向こう側から男がやってくるのが見える。

 この時世に珍しいのと、その男がフラついていたので気になった。

 ミースは足早で向かって声を掛けた。


「大丈夫ですか? 近くにドライクルがあるので案内しま――」

「た、大変だ! ついに悪魔たちが人界を滅ぼし始めた! 占領じゃない、町をぶっ壊して回っているんだ! もう成長の町ツヴォーデンもやられちまった……。超巨大な悪魔と……毒のゼンメルヴァイツに……」


 男はドライクルに知らせようと急いでいたのだろう。

 必死の形相で息も絶え絶えだ。


「毒のゼンメルヴァイツ……ウィル・コンスタギオン!」


 ミースは激情を思い出した。

 レドナの仇である、ウィル・コンスタギオン。

 剣の柄を必要以上に握りしめていた。

今日の夜はゼニガーのキャラデザが活動報告で公開されます。

ぜひ、お越しくださいませ……と言いつつ、ゼニガー需要はあるのか? と訝しむタックであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の評価欄☆☆☆☆☆をポチッと押して
★★★★★にしてくれると応援になります!

いつも読みに来て頂き、ありがとうございます!

「ブックマークに追加」も便利なのでオススメです!



こちら、書籍版です!

『親ガチャ失敗したけどスキルガチャでフェス限定【装備成長】を引き当て大逆転 2』
著:タック
イラスト:桑島黎音先生

レーベル:ムゲンライトノベルス
ISBN:978-4434357480
発売日:2025年6月2日
価格:1650円

結城にこ先生によるコミカライズ一巻も発売中です!
【↓各種情報はこちらのリンクから↓】
ehl67y8ien731tpx2nqihmp1yqc_pw5_160_1nq_1vca4.jpg ehl67y8ien731tpx2nqihmp1yqc_pw5_160_1nq_1vca4.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ