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Βιβλίο【ヴィヴリオ】  作者: 青茶
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狂気に飛び込む

葵はどのタイミングで中に入ろうか迷っていた。



まだ騒いでいる教室内に入ろうとは思わないし、かといってこのまま外にいるのも……


葵がどうやり過ごすかを考えているとゴンと音がなり青の後すぐにピタリと声がやんだ。

一体中で何がどうなっているのか見当もつかないので扉に耳を当てるとかろうじて中の声が聞き取れた。


どう言うことだ、こうなる?中で何か小テストとかでも配っていたりするのか。



「いやいやいやいや」



この声は音守か?また何かしでかしたのか。あいつはいつも何かしていないと気が済まないのか。


次に聞こえてきた言葉に葵は耳を裏がった


「どの様な死に方がいいでしょうか」


どの様な死に方がいいでしょうか?一体なんの話をしているんだ。


葵は尚更中の様子が気になり少し覗こうと思った。

教室には下にも戸があり風通しをよくするためなのかはわからないが全ての教室についていた。たまたまそこが少し空いていたため中を見てみた。

見えるのは生徒の足ばかりだったが教卓の方に袋をかぶせられ、ツボを口元にガムテープでグルグル巻きにされている人の姿が目に入った。


本当になんの授業をしているんだと思いその人をよく見ていると肩にボールペンが刺さっていた。


「いやいや、そんなことは」


もう一度よく観察してみる。

やはり刺さっている。


なんにせよ何かよくないことが起きているのはよくわかった。

とりあえず職員室へ行って先生たちを連れてくればなんとかなるだろう。


葵はそう思いその場をゆっくりと離れ、職員室へと向かっていった。


職員室に向かっている最中に他の教室の前を通っているのだが、別段異常はなく普通に授業をしている風に見えた。

葵はなんとなくだがその他の教室には入っていけない気がした。勘と言ってしまえばそれまでなのだが妙に確信があったため職員室へと急いだ。



職員室へ着いたが、ここも何か変だと思い慎重に扉を開けた。

扉の奥にはいつも通り職員たちの机があり教科書や授業で使う資料が重なり置いてあった。

だが職員は誰一人見当たらなかった。


「すいません!教室で不審者が暴れているんです!」


声を大にしていったが職員室は静まりかえったままで自分の声が反響して聞こえているだけだった。


「なんでこんな時に限って誰もいないんだよ」


悪態をつきながら職員室内へと足を踏み入れた。


すると景色が一変した。


先ほど見ていた職員室はいつも通りの、普段通りの見慣れた風景だったが、一歩足を踏み入れるとそこには職員たちが転がっており、机は血で汚れ、教科書、資料は床に散らばっていた。血と、何かが焼けているような匂い、それに異常な腐乱臭が漂っていた。


葵は現状を理解できずにいた。

そもそもさっき見ていた景色は一体なんだったのか。この匂いにも中に入るまで気づかないことがあるのだろうか。


「くそっ。現実味がない。夢じゃないのか」


葵は職員室を出て再び教室へと戻っていった。



戻る途中で何か武器になりそうなものを用意する必要があったがそんな簡単に見つかるようなものでもなく結局掃除用具入れにあった箒と塵取りを持っていくことにした。ないよりマシだと言う考えで。


葵は教室が見えてくると箒と塵取りを構えてそのまますぐに攻撃できるように構えた。

そして間髪入れず扉を開き見たことのない人めがけて塵取りを投げた。


だが塵取りはその人に当たることはなかった。


「あらあら元気のいい子。そんなに慌ててどうしたの?」


葵は法規を構えた。剣道などしてことがないが構えは剣道のそれを真似た。


「答えてくれないのね。でも、今ようやく死んだところだから。ちょうどいいわ、あなたも見てみる?」


イネスは指をさした。


葵はイネスの動きを見逃さないようにしつつ、指している方へと目を向け、それを視界に捉えると胃の中のものが全て逆流し嘔吐した。


そこにあったのは死体だ。それもとても残酷な殺され方をしている。


全ての爪の間に針が深々と刺さっており、見えている部分の皮膚には切り傷が浅いのもあれば深い傷もあった。深い傷のところに白い塊が埋まっていた。所々にアザもあり腕は折れているのか変な方向へと曲がっていた。足元にはアルコールランプが倒れており、焦げ臭く、顔にはタオルが乗っていた。



葵は嘔吐しながらも相手から目を離さなかった。


「偉いわ。この惨状を見ても、しかも吐いているのに私から視線を外さないなんて」


葵は何か言おうとしたがまだ迫り上がってくる吐き気に耐えていた。


「辛そうね。落ち着くまであなたのこと聞けそうにもないし少しお話をしましょうか」


なんの話をするつもりだと、イネスを睨んでいるが本人は無視して話を続けた。



「私はYnes・Salas=Caballero イネスと呼んでね。それでこの死んだ人なんだけどこの教室の生徒ではないわ、先生よ安心して。」


先生でも安心できるわけがないと顔を曇らせる。


「この先生の死に方はね、ある意味生徒たちが決めたようなものなの。黒板にも書いているでしょう?それでまあ実行したのよ。始めに針を一本勢いよく右手の親指の爪の間に刺したわ。すごい叫んでたと思うのだけれど叫びの壺っていうグッズがあるの知っているかしら。それをつけてたから小さいこえしか聞こえないんだけど。それで右手に全部刺し終えたあたりで気を失ったみたいでスタンガンを使って起こしてあげたの。引き続き左手に刺すのだけれど右手と違ってゆっくりと根元まで刺してあげたわ。その時の痙攣ったら面白かったわよ。勢いよく刺すより痛いから辛そうだったわ。次に足に刺すのだけれど自分で刺すのが面倒くさくなってきたから適当に刺したわ。針はそれで終わり。殴る蹴るはものを使う合間に挟んでいったわ。もう手が痛いのよ、蹴るのもまあまあ痛いのよ。それでナイフを使った切り傷なんだけど、私使い慣れてるからどうすれば痛いとか感触でわかるのよ。見てわかるように死なない程度に切ったわ。深い傷のところにはドライアイスを入れてみたの。うっすら蒸気が出ているでしょう?面白かったわよ、血がブクブクなって。浅い傷の方にはアルコールランプのアルコールをかけて燃やしたわ。傷口の消毒ね。死ぬから意味ないんだけど。そして最後に顔にタオルをかけて熱湯を浴びせたの。水じゃないから呼吸はもちろん飲むことも口に入れるのも暑くてできないみたいですごい暴れたわね。暴れるたびに傷から血がドバドバ出てきたのだけれど。で、あなたがくる少し前に事切れたのよ。どう?感想は。もう喋れるまで落ち着いたかしら」



淡々と笑顔でこの残酷な拷問じみたことの内容を説明し、時には笑い思い出しながら頷いたりともはや人とは思えなかった。



「お前は一体何がしたいんだ」


葵は初めから思っていたことを聞いた。

ただ人を残酷に殺したいだけであればもう教室内の生徒たちはもっとひどい目に合っているはずで、何故か先生と一人だけがひどい目に遭っている。それになぜか落ち着くまで待っていたりと何がしたいかわからなかったからだ。



「死にゆくあなたに教える義理はないわ」



「やっぱり全員殺すつもりなのか」



「ええ多分そうなるわね」


イネスは手を叩き言い直した。


「多分じゃなくて、今、なるわ」


突然教室が炎に包まれた。

椅子に縛り付けられたままの生徒たちは暴れ始めた。

教室内が恐怖と悲鳴で包まれている中でその光景を満足そうに眺めていたイネスが手を振り、




「Chao!」




と一声で消えた。


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