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Βιβλίο【ヴィヴリオ】  作者: 青茶
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不思議な授業



夕日裏坂を登りきると大きい門があり、左右には大きな桜の木がある。

春になると満開になり花見をしようとするものや、写真を撮ろうとこの坂を登ってくるものもいるほど有名である。


門を抜けると古くなった校舎があり、その中心には大きな時計がある。それがこの高校、夕日高校である。


この高校は偏差値的には中の上ぐらいの位置にあり、制服が可愛いことでも有名であるため割と人気である。


時間は流れ、4時間目。世界史


「ええ、この前の続きをやるぞ。教科書の32Pを開いてくれ」



「藤山〜教科書見せてくれへん」

「・・・」

「ふ〜じ〜や〜ま〜教科書〜」

「・・・」

「教科書見せてくれや。もしくは貸せ!」

「・・・」

「きょ」



何かを言おうとした音守の頭に分厚い、それはもう広辞苑レベルの分厚さの資料本が落とされた。

突然の衝撃に言葉が出なくなった音守は頭を押さえてうずくまり、目には涙を浮かべている。


そして藤山葵がなぜ返事をしなかったというと



「何でそんな離れた藤山に教科書を見せてもらわなければならないんだ、音守。それに何回もそう大きな声で言われたら授業にならんだろうが」


そういうことである。音守は左端の前から2番目、藤山葵は右から二列目の後ろから3番目である。


「ちゃいますやん、先生。あれですわ、関西のノリってやつですわ」


そう訳のわからない言い訳をしているが先生はそれを無視して授業を進めている。


「お前らの年代が好きそうな話をしてやろう。お前ら魔女裁判って知っているか」


キリスト教世界で行われた異端排除のための宗教裁判。

主に14世紀ごろから始まった魔女そのものを取り締まる裁判のことだ。

そもそも魔女とされていたのは『悪魔と通じて占い人を破滅へと導く者』だそうだ。

社会の中で孤立している弱者を魔女に仕立て上げたり、政治的に邪魔な存在を罰するためにも利用されることもあったそうだ。

さあ、そうやって裁判で魔女になってしまったものはどうなったのか。

お、知っている奴もいたのか。そう火刑、絞首刑まあいわゆる死刑だ。

まあこれが見事にはやってしまってな、何と魔女狩りでなくなったものは10万弱。

資料によって異なるが、まあ大体それぐらいらしい。

ここからは資料にもどこにも載ってないんだがな、何とその亡くなった中にすごい低い確率らしんだが本物が混じっていたらしい。

いやいや、嘘じゃないんだよ。まあ嘘だと思っていてもいいんだがな。

どうやって本物かどうか判別したかって?

それは具体的なことはわからないんだが不思議なことに火刑の中にしか出てこなかったらしんだが、

火刑の後骨以外の何かが残っているそうだ。

その何かが知らないんだが。



「先生〜、めっちゃ嘘くさいんやけど」

「ははは、まあ信じる信じないはどっちでもいいよ。この学校が立つ前ここもそういうのがあったらしいぞ」


そう言った瞬間の先生は表情が消えてしまったかのような顔をしていた。

教室は静まり返り、誰もが息を飲んだ。

鳥の鳴き声、桜の木の枝がこすれる音。

人だけの時が止まったと錯覚しそうなほど静かだった。



「と、まあこんな嘘っぽい話は終わりにして授業に戻ろうか」


そう言う先生は普段通り何事もなかったかのように、余談など一切していないかのように授業を進めた。


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