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Βιβλίο【ヴィヴリオ】  作者: 青茶
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突然の助け

「勇ましいわね。別の形で会ってたら惚れてしまうわ」


葵とイネスの距離が50mを切ったところに上から灯油缶が落ちてきてイネスにあたり、中身が降りかかった。


「不純異性行為は禁止!」


遠くからライターが飛んできてイネスを火で包んだ。


「はやく逃げて!」


遠くから声は聞こえるも顔まで判別できないがこの状況でイネスの方だけを攻撃しているので敵ではないと思い二人は正門へと走り出した。


正門につくまでイネスが追ってくることはなくあの声の主が足止めしてくれたのだろう、二人は無事に正門へとたどり着くことができた。


「いやー、あの子誰やったんやろ。ほんま助かったわ」


「ほ、んとに、はあはあ、そうだっ、はあなあ」


「藤山君。こう言う時は日頃の行いが出てくるもんやで」


日頃の行いがよくても体力は何も変わらないだろう言いたかったが今は息が切れて話すどころではなかった。

本当にこいつは一体どう鍛えれば息も切らさずに走ることができるのだろうか。


「音守君の言うことも一理あるかもね、藤山君」


門の影からさっきの声の人が出てきた。



「「委員長!?」」


「はい、委員長です」


「なんで委員長がここにいるんだ?」


「それを今話している時間はなさそうなの。なぜだかは言わなくてもわかるよね」


さっきまでイネスという残虐非道な奴に追いかけられていたのだ。またすぐに追いかけてくる可能性は高い。


ついて来て、と言い二人は委員長に同意して走り出す委員長の後をついて行った。


走りながら委員長はイネスに対して何をしたかを話し始めた。



「窓からふたりが見えたから呼ぼうとしたらあの怖いイネスとかいう人に追いかけられてたからね。二人を助けないとって思ったの。なんたって委員長だからね」


「相変わらず委員長は委員長委員長してて委員長らしさもまた委員長やもんなあ」


「委員長言い過ぎだろ」


音守の委員長言いまくり発言を堂々と無視して話を続けた。


「それで近くにあった灯油をあいつに向かって放り投げたわけ。ついでにライターもね」


「委員長、学校の規則フル無視やん」


会話の合間に何か言う音守だが、それも無視された。


「二人に私の声が届いていて本当によかったよ。あの後、あいつ全く動かなかったから追加で灯油投げてキャンプファイヤーみたいにしてやったの」


「委員長、もうそれ犯罪者やん」


無視。


「多分あいつは死んでいないだろうけど、足止めだけでもできてよかったよ。ふたりが生きていて本当によかった」


話を聞いていた葵は死ぬと言う言葉を聞いて何か引っかかっていた。


「委員長?なんでそんな普通に走ってるんだ。なんで生きて僕たちの前にいるんだ?」


「ほんまや!委員長幽霊バージョンか……悪くないけどな」


無視。


「いやー、えっと。どこから話せばいいのかな?んーどうしようか」


委員長が思案顔になっているとき、音守は考える人の大勢と顔を作り器用に走っていた。


委員長も葵もそれを横目で見たが触れることなく無視をした。


「じゃあ私が 「生まれる前、まだ空気中に漂っているところから話したろか痛いっ!」


音守がかぶせて来た。

これを委員長は無視できるほど器が大きくはなかったみたいで頭を引っ叩いていた。


「私が 「生まれる前、旧石器時だ痛いっ!」


反省もせず間髪入れずに違うバージョンを持ってくるあたりさすが関西人と言ったところか。叩かれても引こうとしない。


「次。次同じことをしたら」


「いややわ、委員長。同じことなんて言ってへんで微妙にちゃうやろ?」


言葉の揚げ足をとられてムカつかない人などこの世に何人いるのだろうか。


「黙って。次似たようなことを言うと何を言っても無視するから」


音守はかなりショックを受けたようだった。


以前話してくれたのだが過去にいくらボケても無視されたことがあるらしく、ボケてるほう曰く、

ツッコミがないと空いし、寂しいし、何よりおもんないって言う……。最悪やで。

とぶつぶつ俯きながら言っていた。


委員長も的確に音守のされて嫌なことを言い当てるとはさすがだ。


「話を続けるね。これは私のおじいちゃんの話、いや家族の話かな、になるんだけど私の家って割と古くからあるみたいでなんか家系図が記された巻物みたいなのもあったの。でおじいちゃんがよく話していたのが『これは孫にしか話さない決まりになっていてな。一度しか言わないからよく聞くんだぞ。私が死んだら一枚の紙が出てくる。それをなくさずしっかりと持っておくように。いいか・失くしたりしてはいけない。それと孫に必ず託すこと。息子や娘に託してはならん。』だったかな」


「えらいおじいちゃんっぽい喋り方やん。そこまで再現せんでも」


無視。


「それで実際に紙が出て来たんだけど」


「どれだ見せてくれ!」


葵は少し興奮した様子だった。


「見せてくれって言われても見せれるものじゃなくなったんだよ」


「どう言うことなんだ」


「もう少しで私の家に着くからそこで話そうか」


見えて来たのは古い家だったが箆棒に広かった。

瓦の屋根で、いかにも和風な作りだった。


「靴脱いで適当に上がってね」


二人は靴を脱ぎ始めたが葵は咲穂との質問が途中で終わっていたのが気になっており、再び聞いた。


「さっきのことなんだけど」


「藤山君せっかちなんだね」




「見せれないのはその紙が私の中に入っているからなんだよ」


委員長はなぜか腹の部分をさすりながら微笑んで言った。

























「言い方エロすぎやん!」



無視された。


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