夏がくる
それから三ヶ月が過ぎ、季節は夏になろうとしていた。
私とレンくんの関係は特に変わり映えもせず、SNSで普通に"いいね"や、たまにちょっとしたコメントのやり取りをする日々。
彼に彼女が出来たような素振りはないけれど……
最近はSNSへの露出も少なくなってきているし、忙しくなっているのかもしれないし、もしかしたら彼女が出来たのかも。
若しくはもうずっと前からいたりして……
「だめだ。ネガティブ思考はやめよ。……ていうか何考えてんだろ私?あんな年下の男の子に……。やめやめ!」
急に我に帰ったように頭をぶんぶん左右に振った。
振りながら、洗濯物を畳もうとランドリー室兼洗面所に入るとふと、大きな鏡に写る自分が目に入った。
『痩せたなぁ……。あれから3キロは痩せたんだよね』
3キロ痩せるというのは結構大変な事なのだが、彼に
「めっちゃ美人」
と魔法のような言葉を掛けられただけで、そんなに苦労とも思わずダイエットが出来た。
勿論、まだまだ身体のラインは気になるしこれからも続けるつもりだけど、それにしても3キロ落とすだけで見た目は大幅に変わった気がする。
自分でも違いが分かるぐらいだから、他人が見たらもっと変わってるんじゃないかな。(そう思いたい)
『もっともっと綺麗になりたいな。あの子の為、っていうより、自分の為に』
溢れるキラキラとした、それでも何だか切ない思いを抑えきれず、そう心の中で呟くと、ラインのメッセージが届いた旨の通知が鳴る。
見ると、彼からだ。
『やけにタイムリーなタイミングで届くな……ドキドキさせないでよね!』
とメッセージの中身を見て、私の心臓は更に跳ね上がる。