閑話 王宮 その2
誤字報告ありがとうございます。
ということで本日二度目の更新。
国王様にラインハルトが提案した内容が採択され、オルタスの町ではポーションの自由売買が認められることになった。
しかしそのことが面白くないと思う者たちがいる。
「なんなのだアイツは!」
自室に戻った臣下の内の一人である男は悪態をつく。
「クソッ……このままではあのお方に顔向けが……」
男は親指の爪を噛みながら頭を悩ませていると、扉が三度ノックされた。
そして中に入ることなく、指示を伝えられる。
「いつもの場所でお待ちになられているとのことです。速やかにお出で下さいませ」
「わ、わかった。直ぐに向かおう!」
一秒たりとも待たせるわけにはいかないので、男は慌てて部屋を出る。
そして王宮をも出て城下町にある一軒の建物に入った。
そこには初老の人物が座しており、男は跪き頭を下げる。
「お待たせ致しました、ダラス様」
「それは良い。だが、お主はワシに伝えねばならぬことがあるのだろう?」
威圧的な空気に男は冷や汗をかく。
「も、申し訳ありません。私目の力では止めることが出来ず、オルタスの町でのポーションの自由売買が認められてしまいました」
ダラスの怒りを買えばどうなるか分かっている男は、恐怖で声が震えながら報告を行う。
「決まってしまったものは仕方がなかろう。国王も血迷った判断をなされたものだ…………もう、先は長くないだろうな」
「ダラス様、それは……」
他の者に聞かれれば大問題、それこそ国家反逆罪に成りかねない言葉に男は焦る。
「何を焦ることがある。今回の王命は失敗に終わる。それを見て、他の貴族がこれからも支えようと思うかね?」
「い、いえ……」
「そうなれば次に王となるのはアーデルト王子だろう。さすれば我らの思うがままになるのだ。今の国王を気に掛けていては、手に入れられるものも入れられぬわ」
ダラスはニヤリと笑う。
ダラスは第二王子のアーデルトが即位出来るよう様々な支援を行ってきており、裏から政治の全てを牛耳る手筈を整えているのだ。
「第一王子が即位されるということはないのでしょうか?」
「……それはないだろうな。情報は常にいれているが、病で床に臥せったままのようだ。そんな者に国の重責を担わせることなど出来るまい」
「そうでありますか……」
「そんなことより、オルタスの町の件は対策を考えているのであろうな?」
「はい、もちろんであります。直ぐ様に圧力を掛ける手筈を整えます……しかし辺境の地ゆえに、なにぶん発令が早すぎ準備もありませんので、今すぐにとはいきません……」
男の言葉を聞きダラスは机を拳で叩く。
「そんな言葉を聞くために私はお前を呼んだのではないわ! これに失敗することが何を意味するのか分かっておるのか?」
「は、はい」
「ならば、今すぐにやるべきことを成せ! これ以上の言い訳は聞かんぞ」
「は! 畏まりました」
ラインハルトの動きの方が早く、結局はポーション販売の開始を邪魔することが出来なかったのだが、既にその魔の手はオルタスの町に迫っているのであった。




