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ダブってたら消しますPart2
心地よい風が頬を撫で、髪の毛が鼻の穴に入り、くしゃみして目が覚めた。
「あ、ごめんなさい! アンジーさん、大丈夫ですか? 昨夜いきなり倒れちゃって、お医者様にも見てもらったんです。 寝てるだけだって言ってたけど、どこか具合悪かったりしませんか?」
窓辺に居た梅ちゃんが窓を閉め、駆け寄ってくる。
そういえば、一昨日は寝ないで夜逃げの準備をしていたのでした。
そしてしっかりと、半チャンラーメンと餃子とカレーを食べる夢を見ていた。
夢の中でもう食べられないよぅ~、とか思っていた。
そうか、気を失ったんじゃなくて、寝ちゃっただけか。
「それで、アンジーさん。 アンジーさんは、日本のご出身なんですよね。 私と同じように、向こうから飛ばされたんですか? 私、帰りたいんです! 向こうに帰る方法を知りませんか?」
肩を掴まれてガクガクと揺さぶられる。
いえ、私は転生者なので、しかも梅ちゃんの世界とは違うので、知りませんよ。
てか、ゲームの中では攻略対象とイチャイチャするばかりで、帰りたがっていませんでしたよね?
最終的には向こうの世界の事なんてすっかり忘れて、攻略対象と幸せに暮らすんですよね。
帰りたいんですか? 誰かに恋をすれば解決ですよ。 アナタ、向こうの世界に未練なんてこれっぽっちもないんじゃないですか?
とは思ったものの、今後のストーリーを考えると、正直面倒くさくて関わりたくない。
だって、私、ただの悪役令嬢ですもの。
主人公をいじめるだけの簡単なお仕事です。
これ以上踏み込んで関わっても、私には何のメリットも無いですよ。
むしろ、デメリットしか無いかと。
「ごめんなさい、ウメさん、私、昨日の事はよく覚えていなくて。 確か昨夜、エイミーと一緒に夜の中庭を散歩していて……学園の制服を着た、見慣れない女生徒を見たのですわ。 それから先の記憶は―――ございませんわね」
梅ちゃんは青くなってガタガタと震えている。
ええ、私、前世ではオカルトも嗜んでおりました。
「では、アンジーさんは、ラーメンも」
「ええ」
「餃子も」
「存じませんわ」
「カレーも」
「なんのことやら」
「アンジーさん、よだれが垂れていますが」
「私、朝はいつもこうですの」
梅ちゃんはごまかせたと思うけれどエイミーは……いや、あの優秀なメイドは、主人の秘密にずけずけと踏み込んでは来ないだろう。
「おはようございます、アンジェラ様。 ニホンショクって何ですか? ニホンのご出身ってどういう事ですか?」
ドアを開けていきなり踏み込んできた。
頭を抱えていると、梅ちゃんがエイミーに説明してくれた。 オカルト的な内容を。
「あぁ、身分違いの恋に悩んで中庭で自死したと言われている伯爵令嬢の霊ですか。 授業が終わったら教会で清めの儀式をしていただきましょう」
え? なに? マジでそんな話あったの? やだ、もう中庭行けないじゃないの!




