表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/40

7.マヒルと旅行計画



「魔法使いってどういうことですか?」

「え、まさかマヒルってフライパンだけじゃなくて魔法使いも知らないミズタマだったの?私こんなのと一緒に旅行とか嫌なんですけどー!」

「人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ。魔法使いは知ってるよ俺だって。っていうか一緒に旅行が嫌なのはお互い様だ勘違いすんな。」


「魔法使いなんているわけない。そう思ったかい?」


 いがみ合う俺たちを落ち着かせるように、マリさんが俺に問いかけた。


「…はい。」

「確かに君の生きていた2019年にはもう魔法は廃れてしまったが、15世紀あたりのヨーロッパでは魔法使いや魔女は実在していたんだ。まぁ愚かにも、同じ人間が根絶やしにしてしまったんだけどね。人が人を傷つける事ほど愚かな事はない。大体科学だって、魔法が起こる理由を解明する学問なのにね。」


 ため息をつくマリさんに、俺は質問を投げかける。

「えーっと、つまり15世紀あたりのヨーロッパに行くって事ですか?」


 そこではどんな出来事が起きたんだろう…。

危険が少なそうな事だとありがたい。


「そういう事だ。イタリアのヴェネツィアなんてどうだろう!水の都だ。初めての旅にピッタリじゃないか?とは言ってもこの頃はヴェネツィア共和国だけどね!」


 この際行き先は何処でもいい。

1番重要なのは―。

「で、そこではどんな事件が起きたんですか?」



「14世紀初頭のヴェネツィアでは、ペストという疫病が流行してね。かかると大体1週間はもたないと言われている。この病気でヴェネツィアでは実に人口の2/3が死んでしまったんだ。」


 いや、疫病って。

事件や事故と違って自分たちで防げないじゃねぇか。

初回からハードモードすぎるだろ。


「疫病は1日で全員が死んでしまう訳ではないから、飛べる時間の範囲が広いんだ!だから君たちを送り出しやすいし丁度いい!」

「いや丁度よくないですよ。疫病って俺たちじゃ防ぎようないじゃないですか。」

「いやいや!そりゃあもちろん、君たちにはペストの抗体を体内に摂取してもらってから送り出すよ!流石に私はそこまで鬼畜じゃない。というよりそんなにテキトーだと思われていたことが悲しいくらいさ…。」


 よくわからないがいじけ出した長官に代わって山田くんが説明を付け足した。

「君たちが疫病にかかる危険はないし、他に何か大きな出来事が起こるわけでもない。最初だから安全な所を、と長官と話して決めたんだ。それに、魔女や魔法使いならこの後の任務にも大きく助けになってくれると思うよ。悪い話では無いと思う。」


 確かに、命の危険がないのはありがたい。

テキトーなようで俺たちの事をちゃんと考えてくれているらしい。


「じゃあ…それで。」

「サキくんもそれでいいかい?」

「魔法を使える友達なんて素敵ね!すごく楽しみだわ!」


「よし決まりだ。じゃあ早速準備をしよう。2人とも、これを飲んでくれるかい?」

 そう言って、マリさんはよくわからない淡い緑色の液体を差し出した。

「これが向こうで君たちの体を守ってくれる免疫だ。効果が出てくるまでに時間がかかるから、今日は早めに休んで、次の勤務時間になったら出発しよう。それまでに、マヒルくんは白衣に着替えてくるように。」


 俺とサキはその液体を飲み干し頷いた。

ものすごく苦いが良薬はナンタラだと信じたい。

 サキは何ともなさそうな顔をしている。


「よし、じゃあ今日は解散だ。お疲れ様!ちなみにこの部屋を出てまっすぐ、マヒルくんの部屋を通り過ぎた右側に食堂が、もっと進んで突き当たりの階段を上がった1つ上の階に浴場があるから自由に使ってくれたまえ!」


 生活施設そんなに充実してるのか。


「というか、せっかくだしご飯は4人で一緒に食べよう。新入社員歓迎会といつやつだ。私たちはもう少し仕事があるから、そうだなあ…。3限になったら食堂に集合だ。決まり!」


 あっという間に1人で予定を決めたマリさんは自分のイスへ戻っていった。


「そこに座ってても、自分の部屋に行ってても良いからね。施設は自由に使ってくれていい。ただし、下の階は他の班のフロアだからあまり立ち入らないように。」


 そう言って、山田くんも最初にいたソファの方へ戻っていった。

 そして俺も自分の部屋に戻ろうかと思ったその時。


「ねぇねぇ、一緒にチェスやりましょうよ。私一度も勝ったことないけど、マヒルには勝てる気がするの!」


 お前何処から拾ってきたんだそれ。


「ここで騒ぐと邪魔になりそうだから、とりあえず部屋でやろうぜ。」


 そう言って俺はサキを連れて俺の部屋へ移動した。

その後結局、チェスやらオセロやらトランプやらに付き合わされ、気付けば約束の3限が迫っていた。

 色々と頭に詰め込んだこともあって少しは休みたかったが仕方がない。

サキを一足先に部屋から追い出し、白衣に着替えて部屋の外へ出る。


 俺のネクタイは青だった。

ネクタイが水玉ではない事にガッカリするサキを、マリさんとの約束に間に合うよう、食堂へ引っ張った。

こんにちは。YUmi(ゆうみ)です。

早いもので、7話まで来ました。

ラッキーセブンですね。

お待たせしていますが、始めての冒険旅行まであと少しです。

とても面白くなっているので、お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ