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ステップを踏む

作者: remono

 ステップを練習している。ずっと昔からだ。もしかしたら生まれる前からかも知れない。ステップは僕が生きるにとって、何よりも大事なことで、それを習得することに僕はどんな犠牲を払うことをいとわなかった。けれどもまだ理想のステップは踏めないでいる。こんなにも練習しているのに。僕はステップを踏めないでいる。


 僕が求めているものは遙か高みにあり、それに比べて僕の踏み込みはあまりにも貧弱で、何もかも足りていないことが自分でも痛いほどわかった。それでも僕は一人でステップの練習をしている。ずっと、ずっと。踏み出した足が動かなくなるまで、続けるのだろう。僕の心臓が止まるまで、続くのだろう。もしかしたら僕の命が潰えても、それは続くのだろう。ステップを踏む。


 楽しさが欠けているのだろう。喜びが欠けているのだろう。他の人が軽々とステップをこなすのを見て僕は思う。なんて楽しそうなんだろう。なんて嬉しそうに踏むんだろう。それに引き替え僕のステップは苦渋と苦悩に満ちている。そしてそれを隠そうともしない。惨めで矮小なステップ。小さく刻む。


 伸びやかに生きたい。軽やかに生きたい。それができなくて悩んでいる。そんな僕にとってステップは救いだった。ステップさえ踏んでいれば伸びやかに見える。軽やかに見える。だろう。そう思っていたのに、人とはやっぱり違うようだ。猿真似は容易く見破られてしまう。けれども僕はステップにあこがれて。今でもこうしてステップを踏む。小さく、小さく。


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