ある終わりの記録①
読み飛ばしても構わない話です。
私が辿り着いた時には、すでに悲惨な光景が広がっていた。天から降りてきた神が雷を起こし、竜巻を起こす。眠りから目覚めた大罪人は、それに抗うべく大魔法を連発する。
・・・・・・・私たち人間など、その戦いにただ巻き込まれるしかなかった。
「私たちが、いったい何をしたっていうのよっ・・・・・」
もうすべてが手遅れ。人間は滅び、神か大罪人のどちらかが滅びるまで、地上はこのまま地獄と化すだろう。
「誰か、生き残っている人はいないの?」
戦いに巻き込まれないようにしながら、荒れ果てた地獄を走る。雨で視界が悪い上に、強風でまっすぐ走ることすらままならない。
それでも視界に飛び込んでくるのは、昨日までに出会った仲間たちの死体。
スメラギにエリス、グラン王までもが倒れ伏している。
「っ!?嘘っ・・・・・アレン、あなたまで・・・・・」
そこに倒れていたのは、私の最愛の人。隣にはハミルも倒れている。
「あなた達でも、どうしようもなかったというの・・・・・」
私の知る限り各国で最も力を持っているであろう人たちが、みんな死んでいる。それほどまでに、人と神の力の差は歴然だということなのだろう。
絶望し、膝をついてただ雨に打たれる。私たちが思い描いた理想の世界は、神の勝手な都合で叶わぬ夢となった。
もう、死ぬのを待つしかない。そう思っていた時だった。視界の隅で、動く人影が見えた。
「・・・・・誰か、いるの?」
「っ!?あなたは・・・・・フィーナ!よかった、生きていたのね!」
「何とかね。でも足は動かないし、右腕も失った。私に戦う力は、もうない」
「それほどまでに、神と大罪人の力は強いということなのね・・・・・・」
「今の人類に、やつらに対抗する力は残っていない。でも、あなたがいればまだ希望はある」
「どういうこと?」
「・・・・・やり直すのよ、全てを」