特別な日①
リアルの生活が色々あって更新が不安定なのをお許しください。
火の月蒼の週
グランド王城地下書庫
「なるほど・・・・・。でもわからない。神話は約二千年前の話。それが原因で戦争が続いているのなら、千年戦争なんて呼び名、とっくに消えているはずだ。でも、実際に戦争の記録は千年前に始まったと示している。この矛盾はいったい・・・・・」
今日も僕は、補佐官の仕事を終えて地下書庫に籠っている。補佐官といっても、現在の仕事はフィーナの身の回りの雑用。いいように使われているのが現状である。なんでも、しばらく視察へは出ないから研究に没頭するとか。フィーナの研究は専門的過ぎて今の僕には理解できないため、歴史を学ぶついでに書庫で魔法も勉強している。
「それにしても、千年も続く戦争か。想像もつかないな」
記録された戦死者数は、あまりの数に目を背けたくなる程。歴史の資料はあらかた読み終わったので、気分を変えるために魔法の資料がある棚に移動する。
「この前はうまくいったけど、レゾナンスを使うためにはフィーナと同じレベルの魔法の知識が必要だよな。それに、フィーナと共通の認識も必要になるだろうし」
まだまだ、学ぶことが多すぎて困る。いつになったら、まともにフィーナの隣にいられるようになるのやら。
そんなことを考えながら、椅子に座って本を読んでいると、突然フィーナが入ってきた。
「お疲れ様。順調に進んでるかしら」
「まあまあ、かな。歴史関連は3日かけて目を通したけど」
「なるほどね。ところでハミル。あなた今ほしいものはあるかしら?」
「ほしいもの?どうして急に?」
「ああ、えっと・・・。あなた、しばらく城で生活するわけだから、現金の報酬もらっても意味ないでしょ?だから、現物支給にしてあげようかなって」
なるほど。でも急にほしいものっていわれてもな・・・・・。
「何かないの?」
「うーん、今はないかなぁ。生活するうえで不便なことも全然ないし」
「・・・・・それじゃ困るのよ」
「え?」
「何でもないわ」
突然、考え込むフィーナ。こんなことを聞くためにわざわざここへ来たのだろうか。いつもなら、仕事が終わったらすぐに寝ているはずだが。
「・・・・・まあ、思いついたら言いなさい。用意してあげるから」
「ああ、・・・・うん。考えとく」
それだけのやり取りでフィーナは去っていった。正直、ここに居座らせてもらっているだけでも十分なくらいだから、これ以上望むものなんてないんだよな。
「ま、今日はもう少し本読んで寝るか」
翌朝
今日も早朝からフィーナの仕事の手伝い、もとい雑務をしにフィーナの部屋へ来て、扉をノックしようとしたその時だった。
「だから、ハミルが喜びそうなものよ。何か思いつかない?」
「そういわれても、私は彼とほとんど話してないからわからないわ。セド辺りの方が、よっぽどわかるんじゃない?」
「あいつに聞いて解決するならあなたには聞いてない」
誰かと話している?この声は・・・・・アイさん?
「というか、姫様からの贈り物なら何だって喜ぶんじゃない?大事なのは気持ちよ、気持ち」
「そうなのだろうけど・・・・・・・っ!?誰かいるの!?」
げっ!やべっ・・・・・。たぶん魔札のせいだ。僕だけなら魔力がないからフィーナの魔眼に見つからないし、指輪は魔法を使わない限りはただの装飾品だ。
「というか、こんな反応あなた以外にあり得ないわ。入ってきなさい、ハミル」
「・・・・・あの、盗み聞きする気はなかったんだ。話の邪魔したら悪いなって思って」
「いいわ、気にしてないから。アイも、戻っていいわ。相談に乗ってくれてありがとう」
「姫様が素直に例を言うなんて・・・・・。明日は嵐ですか?」
「うるさい。さっさと帰れ」
「はいはい、邪魔者は去りますよ」
「ハミル。今日の仕事なのだけど・・・・・休みにするわ」
「え、何かあったのか?」
「ちょっと急用ができたの。街へ出るから、あなたは一日、自由に過ごしなさい」
自由にって言われてもなぁ・・・・・。城の中で出来ることなんて、地下書庫に籠るか、中庭で訓練するくらいだし。
「なあ、僕も街に付いて行っちゃだめか?一度、ゆっくり見てみたいと思っていたんだが」
「駄目よ」
「だよね・・・・・」
仕方ない。今日は地下書庫で経済関連の書籍を読み進めるか。一日あればそれなりに進むだろう。
色々話を動かしたいというのはあるのですが、前提知識を語るだけでかなり時間かかる・・・・・。