【第1章】箱入り娘
街に戻ったアルト達はまず彼女の衣服を用意することにした。
彼女はミーナと名乗った。
どうやら別の大陸から来たらしいが森で道がわからなくなり、さまよっていたところをオークに襲われたそうだ。
そこにベストタイミングで俺が登場したわけだな。
とりあえず衣服を買うため服屋に向かおうとしたのだが・・・・
「アルトさん!あれは何ですか!?」
「あれは武具屋だな」
「あっちは!?」
「あれは冒険者組合だ」
という感じで見るもの全てに興味を示し、服屋にたどり着けないでいた。
どこかのお嬢様なのだろうか。
正直めんどくさい。
「とりあえずお前の服を何とかしないと街をあるくこともできん。まずは服屋に行くぞ。」
「はい!」
ついてくると思い歩き出そうとするが
「アルトさんあれは!?」
どうやらまだ服屋には行けなさそうだ。
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散々ミーナに振り回された挙句にようやく服屋にたどり着いた。
服屋とは言うが冒険者向けの店なのであまりたいしたものは売ってない。
とりあえずコボルト皮の服の女用でいいか。
「ミーナ、服だけどこれでいいよな。」
「冒険者はこういうところで服を買うのですね・・・しかし女性用は布の面積が少なすぎませんか・・?いやでも動きやすい服という意味では・・・」
駄目だまったく聞いてない。
もういいや。買ってしまえ。
服は全部で銀貨1枚だった。
宿代が足りなくなったがまだ依頼の報告にいってないので、問題ないだろう。
「ミーナ、とりあえずこれに着替えて来い。」
「あうっ、アルトさん痛いです押さないでくださいぃ」
無理やりミーナに服を渡して着替えさせる。
着替えを終え、ひと段落ついたところで冒険者組合に報告に向かうことにした。
ミーナはどうするのだろうか。
「俺は依頼の報告にいくけどミーナはどうするんだ?」
「ついていきます。私はこの街のことはほとんど知りませんし」
街どころか共通の常識すら危ういと思うんだが・・・
さすがに口に出すと怒るかもしれないから口にしない。
「分かった。とりあえず冒険者組合に行くぞ。その後のことは報告の後で考えよう」
「はい!」
冒険者組合に入ると受付カウンターにアリナがいた。
「お疲れ様。依頼の報告をしたいんだけど」
「アルトさん。相変わらず早いですね。では冒険者証をお預かりします」
冒険者証を受けとったアリナは奥に引っ込んだ。
10分ほどしたら彼女が戻ってきた。
「コボルト17匹、オーク6匹ですね。まさかオークまで倒してくるとは思いませんでした。今回の依頼でオークを討伐しておりますので、Dランク昇格試験の依頼を受注することができるようになりますよ。」
やっぱオークってEランクが戦う魔物じゃなかったんだな。
Dにあがれば依頼の報酬もよくなるだろうしもう少し稼げるようになるかな。
「それでは報酬が銀貨35枚になります」
銀貨の入った袋を受け取るとアリナの視線がミーナに移った。
「ところでそちらの女の子は・・・?」
「ああ、森でオークに襲われたところを偶然見かけてな。とりあえず助けたんだけどどうやら身寄りがないらしいんだ」
「そうでしたか。よろしければ冒険者組合で保護者を探すこともできますがどうされますか?」
ミーナを見る。
なんだろうか、心なしか顔が青い。
明らかに何かに怯えているような・・・
仕方ないな。
「いや、しばらくは俺が面倒を見ることにするよ。」
「分かりました。何かあれば私も協力しますので言ってくださいね」
「ありがとう」
俺は冒険者組合を出るともう日が沈みかけていた。
さっさと宿屋に戻るとしよう。
さすがにこの時間だと街に繰り出すのも微妙だ。
宿屋についたところで店主から早速ミーナについて聞かれたが適当に誤魔化した。
ミーナの部屋も合わせて銀貨6枚を払い、部屋に戻る。
荷物をおろして食堂で飯でも食べようかななどと考えていると
「アルトさん」
ドアの向こうからミーナの声が聞こえた。
「入ってもよろしいですか?」
「ああ」
さっき着替えた服のままのミーナが部屋に入ってきた。
そういえば部屋着は買っていなかったな。
「お願いがあります」
すごく真剣な様子でミーナが言う。
「私をあなたのパーティに入れてもらえませんか?」
次回の話が終わったら一度幕間を挟もうと考えてます。
プロットが半分以上意味を失ってしまってるのでかなり考えながら書いてます。
更新だけは遅れないようにがんばります!