【第1章】土魔法と女の子
声が近づいてくると何かが群がっているのが見えてきた。
2メートル半の体躯、緑色の肌、豚のような見た目。
間違いなくオークだろう。
それが6匹ほど何かに群がっている。
なるほどこれはコボルトとは比べ物にならないだろう。
雰囲気からして強そうだ。
中心では女の子がオークに捕まっていた。
薄いピンクのような髪の毛を肩口で切りそろえている。
顔立ちも幼く、いかにも少女という感じ。
その少女が衣服を破られ、今まさに襲われている。
とりあえずオークの注意を引き付けるか。
近くのオークに炎弾を放つ。
背中に炎弾を受けたオークがこちらに気づいた。
「ピギィアアアアアアアアアアアアアア!!」
不快な咆哮が耳に響く。
「・・・チッ!」
思わず舌打ちしてしまう。
炎弾が効いていないのだ。
とりあえず残りのオークにも炎弾をぶつけ、こちらに気づかせる。
一斉にこちらに走ってくるが、重力魔法を使い、後ろに下がる。
もう少し女の子と引き離さなければ。
オークが6匹固まったところで足止めの魔法を使えないか考える。
魔法の属性は 火 水 風 土 光 闇
全てに属さない 無属性
この7つ。
この中で使えそうな属性は・・・・・
土魔法で足止めできないだろうか。
使ったことは無いが地面に何か干渉できるはず。
土が隆起し、オークの足を絡めとるイメージをする。
割れる地面
地表から飛びだす土の槍
「彼の者達の歩みを阻め。岩石牢」
オークの周りから土の槍が飛び出す。
それらはオークの頭上を中心に三角形の牢獄を作り出した。
オークたちはそれらを押しのけることもできず、暴れている。
どうやらオークの力では抜け出すことはできないらしい。
動きを止めたところで更に土魔法。
「原始の槍よ、敵を穿て。岩石槍」
動けないオーク達の頭が吹き飛んだ。
「ふぅ・・・なんとかなったか・・。」
素材を持って帰りたいところだが今回は討伐目的で収納袋を持ってきていない。
収納袋とは昔に失われた技術で作られた特別な袋だ。
見た目は小さいが容量がかなり大きいため冒険者の強い味方である。
学者達が製法を再現できないか調べているらしいが実際に作ることができたという話は聞いたことがない。
「ふぅ・・・なんとかなったか・・。」
とりあえず女の子のところに戻ろう。
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「ありがとうございました!」
女の子は俺を見るなり頭を下げてきた。
「頭を上げてくれ、どうやら怪我はしてないようだな。」
「はい。でも服が・・・・」
女の子の服はボロボロだった。
襲われていたから仕方ないとはいえ、正直目のやり場に困る。
「と、とりあえずこれ着とけ!」
アルトは自分が来ていた外套を手渡した。
「えっ・・・あっ!」
女の子は気づいていなかったらしい。
顔を真っ赤にして外套を奪い取った。
「とりあえず、街に戻ろうか。」
「はい・・・。」
改めて空を見ると、もう夕日が沈みかけている。
夜の森は危険だ。早く抜けてしまわないと。
「俺の背中に掴まっててくれ。ちょっと急ごう。」
「わかりました。」
女の子をおんぶしたところでアルトは自身に重力操作を使う
「振り落とされないようにしっかり掴まっててな!」
アルトは街に向かって走り出した。
書き貯めが何の役にも立ってないのでほとんど1から書き直してます・・・。
3日ペースを維持できるように精一杯努力はしますが遅れたらごめんなさい・・・。