【第2章】迷宮と誕生
「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
ミーナが殺された。
ミノタウロスは確かに倒した。
しかし
振り返るとそこには体の色が赤黒く変化したミノタウロスが立っていた。
さっき持っていたはずの斧は手元にない。
「・・・・お前か」
ミノタウロスは口角を吊り上げこちらを見ている。
殺す。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!」
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気がつけばそこには肉片になった魔物が転がっていた。
角が落ちている。
そうか。ミノタウロスか
「そうだ!ミーナ!!」
背後に倒れているミーナに駆け寄る。
夢であってほしかった。
彼女は無残にも上半身と下半身を真っ二つに切り裂かれている。
「・・・くそっ!」
守れなかった。
彼女を守ると誓ったのに。
魔法という力を手に入れて俺はなんでもできると思った。
今までどんな困難もこの力で乗り越えてきた。
何が「なんでもできる」だ。
たった一人の仲間すら守れないで。
その時。
腰につけていたポーチから紫の光が漏れていた。
「・・・何だ?」
ポーチを開くと光はモンスターハウスで手に入れた宝石から出ているようだった。
宝石はひとりでに浮き始め、やがて俺の前で静止した。
宝石が俺に語りかけてくる。
「彼女を助けたいか?」
青年のような声だった。
だがそんなことはどうでもいい。
今なんと言った?
「・・・彼女を助けたいか?」
聞き違いではないようだ。
「俺には彼女を助けることができない・・・」
俺の魔法には治癒術はない。
まだ手がかりすらもつかめていない。
それにたとえ治癒能力であったとしても既に死んでいる彼女を救うことはできない。
「ならば力があれば彼女を助けるのか?」
「当たり前だっ!俺は彼女を守ると誓った!助けられるものなら助けたいに決まっているだろう!」
「ならば力を貸そう」
宝石の光に照らされると魔力が戻ってくる。
同時に何か大きなものが体に入ってくる感覚がした。
「お前は・・・?」
「私は時の精霊エターニア。君に彼女を救う力を与えよう」
同時に頭に無数の情報が流れてきた。
なんだこれは
確かにこれならミーナを助けることができる。
「さあ、往くがいい。時空魔導士。今の君ならできないことなんてない」
「ああ、そうだな」
時の精霊は俺に新しい魔法の力を与えてくれた。
それは・・・『時元魔法』
時を自在に操る魔法。
こんな未来なんて認めるわけにはいかない。
今度こそ彼女を守り一緒に王都へと帰るんだ。
そして俺はミーナを救う魔法の名を告げる。
「時間遡行!!」
2章もいよいよクライマックス!
これからもこの作品をよろしくお願いします!