【第2章】迷宮とボス
第3層への階段を発見した。
おそらくここを降りれば迷宮の主・・・ボスがいるはずだ。
ボスは迷宮に必ず1体存在する迷宮の頂点。
ボスを倒して初めて迷宮を攻略したと言えるだろう。
階段を下りると真っ暗だった。
しまったな。松明を用意するのを忘れていた。
光源をどうやって確保しようか考えていたそのとき
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
「何だ!?」
「アルトさん!」
ミーナが反射的に俺に抱きついてくる。
ミーナをかばいつつ辺りを探る。
突然通路に並んだ燭台に火がともった。
同時に地響きが鳴り止んだ。
「これは・・・・?」
燭台は真っ直ぐ奥へと続いている。
ミーナを見ると無言で頷いた。
この先にいるってことか。
ミーナの手を引き、奥へと向かう。
しばらく進むと巨大な扉があった。
高さは5メートルくらいだろうか。
・・・開けられるのか?
「間違いありません。この先にいます」
「分かった。開けるぞ・・・」
扉を押す。
するとひとりでに扉が開く。
中はコロシアムのようになっていた。
広さは半径30メートルといったところか。
中央に石像がある。
周りは高い壁に阻まれており、その上には観客席のようなもの。
奥に扉がある。
「石像から魔力がもれています。あれがボスだと思います」
「ということは近づくことであいつが動き出すということだな」
石像は・・・・おそらくミノタウロス
牛の頭に人の体。右手には巨大な斧を持っている。
近づかなければいいというなら先手を取らせてもらおう。
「ミーナ、この紙と同じような魔刻印を地面に描く。手伝ってくれ」
「分かりました」
用意した紙に魔刻印を描き、ミーナに説明をして渡す。
地面に直接描くのだから別の名前のほうがわかりやすいな・・・
よし、『魔法陣』とでも呼ぶことにしよう。
コロシアムの地面は石のようなもので固められており、直接彫ることはできない。
鞄から白い棒を取り出しミーナに渡す。
「アルトさんこれは?」
「これはチョークと呼ばれるものだよ。こういう地面とかに何かを書くときに便利だから持ち歩いてるんだ。」
本来は他のパーティがこういう環境で作戦を確認するときなどに使う。
今までパーティを組んだことがないから使うことはなかったが。
2人で魔法陣を描き終え、確認する。
ゆがみもないしこれなら問題ないはずだ。
「アルトさん。この魔法陣で作ったのはどんな魔法なんですか?」
「見てのお楽しみ・・・といいたいところだけど命がかかってるからね。説明しよう」
ミーナに魔法陣と込めた魔法を説明する。
「すごい!それなら強力な魔物でも安全に戦えますね!」
「準備に時間がかかりすぎるし、実践ではあまり使えないけどね」
それに失敗したら作戦がすべて崩れる。
俺だけなら問題ないが今回はミーナがいる。油断はできない。
「ミーナ、君はいつでも治癒が使えるように後方で待機だ。念のために周囲を『魔力探知』で探っておいてくれ。もしミノタウロスがミーナを狙ってきたら戦おうとは思うな」
「分かりました」
さすがにあの重圧の後だ。ミーナも自分が戦えないことが分かるようだ。
ミーナが下がったことを確認して、石像に近づく。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
2メートル手前くらいで地響きがなり、石像に青白い光が流れていく。
おそらく魔力の塊だろう。
魔力自体が目視で確認できるのは初めてだな
「アルトさん!来ます!」
石像の目が赤く光る。
同時に石像からミノタウロスが飛び出してきた。
「ヴォオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!」
ミノタウロスの咆哮。
ボスとの戦いの火蓋が切って落とされた。
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