【第1章】新たな魔法
さらに奥に進むと毒消し草の群生地が見えてきた。
なるほと確かにコボルトがたくさんいる。
おそらく15匹くらいだろう。
さすがに炎弾だけでは厳しいかと少し離れようとしたところで、アルトは考える。
炎を嵐のように撒き散らすことはできないか?
俗に言う範囲攻撃だ。
アルトが魔法を使えるようになったのはつい最近のことだ。
炎弾はそこそこ実践でも扱えるようになってきたが、ほかの魔法ままだまだ実用段階ではない。
そして新たな魔法を見つけ出せないかと魔法の研究もしているのだ。
発火能力は能力の高さ次第でそれなりの範囲も攻撃できるらしい。
もっとも「能ナシ」のアルトはそんなことは知らないが。
ものは試しにとアルトは範囲炎魔法をイメージする。
燃え盛る炎
嵐の如く全てを巻き込む炎
近づく全てを焼き払う灼熱の炎
右手をかざすとそこに魔力が集まってくるのがわかる。
頭に呪文が浮かび上がってくる。
「荒れ狂う炎の嵐よ、万障を焼き尽くせ。火炎嵐」
瞬間、コボルトの群れを炎の嵐が蹂躙する。
アルトは目の前の光景に「森火事になったりしないよな・・・・?」と全く場違いなことを考えていた。
煙がはれるとそこには集まっていたコボルトの死体が転がっていた。
使えた・・!これなら敵が多くても範囲攻撃で一掃できる。
実践で使える新たな魔法に浮かれつつ、アルトはさらに森の奥へ進んでいく。
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かなり奥まで進んできたはずだがコボルトは見つからなかった。
群生地のコボルトをすべて焼き払ってしまったから仲間のコボルト達が逃げてしまったのだろうか。
空を見上げると日が傾き始めている。
「今日のところは帰るとするか。」
今日使った範囲魔法の考察をまとめないと。
アルトは自分が使った魔法を研究資料としてまとめている。
今後自分以外の「能ナシ」に魔法を教えることがあったとき、役に立つかもしれない。
今のところギルドの受付嬢以外と話したことはないため、それがいつくるのかはわからないが。
街に戻るため、自分の体に重力操作の魔法をかける。
重力操作は自身にかかる重力を操作できる魔法だ。
軽くも重くもできる。
移動のときに使えば馬よりも早く走ることができる。
・・・・・・・・・・けて。
「ん?」
・・・た・・・けて!
新しい魔法を使って疲れているのだろうか?
女の子の声が聞こえる気がする。
「・・・・助けてっ!」
どうやら気のせいではないようだ。
アルトは声が聞こえる方向へと走り出した。
次回ついにヒロイン登場です!
しかしせっかく原案的なものを書いたにも関わらずほぼ変わってしまっている・・・。
思いつくままに書いてますのでとりあえず3日1本更新目標にがんばろうと思います!