【第2章】迷宮と激闘
クラスタの迷宮第2層
俺達は宝箱を開けると同時にモンスターハウスにかかってしまった。
狭い空間に大量の魔物が発生する冒険者殺しの罠
2~3匹くらいならどうにかなるがさすがに数が多い。
足下には大量の魔物。
上の足場でミーナが見ている。
さて、あの魔法は使えるかどうか半々といったところだが・・・
やってやるさ。
俺の持っている全魔力をつぎ込んだこの1撃で決着をつける。
「万象の観測者たる無限の大地。この世全ての生命、母なる大地より生誕しやがて母なる大地へと帰らん」
言葉が自然に紡がれる。
無詠唱魔法は発射速度に優れるが範囲攻撃には向かない。
詠唱は時間がかかるが威力と範囲を大きく伸ばせる。
いつか両立させた魔法を開発したいものだな。
「母が流すは慈愛の涙、眼前全ての生命に大地の寵愛を!『地母の涙』!!」
自分の体からごっそりと何かを持っていかれる感触。
鼻血が垂れる。
身の丈に合わない魔法を使った反動か・・・
俺の周りに無数の岩の槍が現れる。
その数は千はくだらない。
「貫け!」
足下の魔物に岩の槍が降り注ぐ。
魔物が痛みを感じる暇もなく絶命していく。
まるで母が子供のために流す涙のように・・・。
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ミーナは目の前で起こっていることが理解できないでいた。
アルトが魔法で大量の魔物を屠っている。
赤い液体が滴っているのが見えた。
「アルトさん!」
名前を呼ぶ。
アルトがこちらを向いた。
心なしか笑っているように見えた。
まるで神話の一場面のようだった。
降り注ぐ岩の雨。
一つ一つが必殺。押し寄せてくる魔物を次々と貫く。
たった一人の魔導士は無数の魔物の命を土へと還す。
ミーナはただただ目の前の光景に見とれていた───
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「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
魔物は全滅した。
なんとか魔法は成功したが、体中が痛い。
足場を降ろし、自分の風歩を解く。
地面に足をついた瞬間ふらついて尻餅をついてしまった。
・・・完全に魔力切れだな。
「アルトさんっ!」
ミーナがまた飛びついてきた。
「アルトさん・・・良かった・・・良かった・・・!」
「言ったろ?必ず君を守るって。君を残して死んだら守れないじゃないか」
頭をなでてやる。
強がってはいるが魔力が切れて体がだるい。できるならしばらく動きたくないな・・・。
「・・・っ!すいません!すぐに治癒します!」
ミーナの左手に緑色の光が灯る
ミーナが左手で触れた場所から体の痛みが引いていく。
これが治癒Aの力・・・すごいな。
体の痛みが引いたことにより眠気が襲ってきた。
「休んでいてください。近くに魔物はいないようですし、安全ですから」
「そうか・・・なら・・・」
もう限界だ。眠くて仕方がない。
迫る眠気に身を任せ、まどろみの中へと落ちていった。
地母の涙はどこかのAUOが使う例のアレみたいなイメージです。