【第2章】迷宮と宝箱
クラスタの迷宮第2層
幻影を使い休憩を終えてすぐに第2層の探索を再開した。
この迷宮は広い。
普通の迷宮ならば何層も階層があり一つ一つはそこまで広くないのだが。
もしかしたらこの迷宮は特殊なのかもしれない。
しばらく探索を続けると小部屋のような小さい広間を見つけた。
部屋の真ん中に宝箱がある。
迷宮探索といえばこの宝箱だろう。
迷宮に出現する宝箱は価値の高いものが入っていることが多い。
宝箱を求めて迷宮を探索するトレジャーハンターなんて職業も存在するくらいだ。
しかし宝箱にはトラップが仕掛けられている場合もある。
宝箱に興奮したパーティがあけた瞬間に毒ガスが噴射されて全滅したなんて話も聞く。
この場合パーティなら誰か一人が宝箱を開けて確認するか、なんらかの手段でトラップを解除するのが望ましい。
俺は罠の解除ができないので、ひとまず俺が近づいて魔法でどうにかできないか試す。
「ミーナ、トラップを確認するから君はここで待機。もし俺が動けなくなった場合はできるなら治癒で治してくれ。それがダメだった場合はとにかく逃げろ」
「そんなっ!アルトさんをおいて逃げるなんて!」
「君が逃げなければ二人とも死ぬ。君だけでも逃げれば助けを呼びにいけるだろう。どちらが正しいかは君なら分かるはずだ」
「でもっ!」
「心配しなくても魔法でどうにかできるならどうにかするよ。安心するんだ」
「・・・っ!わかりました・・・」
「いい子だ」
宝箱に近づく。
・・・特に反応はないな。
一応周りも調べたが特に罠らしきものは見当たらない。
一応自分がすぐに移動できるように風歩を準備しておく。
宝箱を開けた。
中には紫色の宝石が入っている。
見たことない宝石だな。
これは・・・
その時。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
「ちっ・・・ミーナ!こっちに来るんだ!」
「アルトさん!」
ミーナが走り出すと同時、小部屋の周りから魔物が大量に出現した。
モンスターハウス
何らかの条件で魔物が近くに大量発生する迷宮の罠
今回は宝箱の中身が動くのがトリガーだったようだ。
「ミーナ!飛ぶぞ!掴まれ!」
ミーナは魔物を見つめて動かない。
・・・まずいな、恐怖に飲まれてる。
「くそっ!」
用意していた風歩でミーナに向かって飛んでいき、腰からつかみあげて空中に飛ぶ。
幸い相手に飛行系の魔物はいないようだ。
落ち着いたところで土魔法で岩の塊を作り、風歩で滞空させ足場を作る。
そこに飛び乗ってミーナをおろした。
「ア・・・ルト・・・さん・・?」
ミーナの目から涙がこぼれている。
「アルトさん!」
と思ったら飛びついてきた。
「落ち着くんだ。心配するな、必ず君を守る」
頭をなでる。
さらさらの髪の毛が心地よい。
ミーナが落ち着いたのを見計らって体を離す。
「そこで見ててくれ。俺が全部倒してくるよ」
「・・・はいっ!」
風歩で魔物の頭上に近づく。
足場の風歩はあと10分くらいは持つだろう。
さて、時間がない。この一撃で終わらせよう。
更新がかなり遅くなってしまい申し訳ないです。
週末で少しずつ投稿していきますのでこれからもよろしくお願いします。