【第2章】迷宮と空中歩行
第1層の探索を終え、ついに第2層にたどりついた。
早速第1層で作った『熱源探知』を発動する。
「・・・・いた。そこの角を曲がったところに1匹。ちょうどいい、実験に付き合ってもらおう」
魔物に近づくとその姿が見えてくる。
『グリーンデスサイス』カマキリの鎌が以上発達し巨大化した魔物だ。
あの鎌に掴まると俺の装備くらいなら一瞬で両断される。
「ミーナ、周辺の警戒を頼めるか?」
「わかりました」
グリーンデスサイスに近づきながら自分の体に『風歩』をかけると同時、一気に距離をつめる。
正面から首を落とそうと剣を構える。グリーンデスサイスは正面で鎌をクロスさせてガードしている。
・・・・読み通りだ。
風歩でグリーンデスサイスの頭上を抜け、
「風刃!」
振り向くと同時に魔法を放つ。
グリーンデスサイスが魔法を鎌で弾き、土埃が舞う。
・・・あれで終われば楽だったんだけどな。仕方ない!
グリーンデスサイスが鎌を振り払い、土埃が晴れるとそこには既にアルトの姿はない。
背後に回りこんだアルトはグリーンデスサイスの頭をわしづかみにする。
「爆ぜろ。『炎爆』」
瞬間、グリーンデスサイスの頭が弾けた。
やはり風歩の加速と空中歩行は便利だ。3次元的な立ち回りができる。それに魔力消費もほとんどない。
戦闘がかなり楽になる。
グリーンデスサイスの鎌を剥ぎ取り、ミーナのところに戻る。
グリーンデスサイスの鎌は頑丈だ。武器に加工してもらえば壊れにくい武器ができる。
性能も悪くない。
「アルトさん!今の戦いすごかったです!気づいたらアルトさんが魔物の後ろにいて・・・」
興奮気味のミーナがいろいろ話しかけてくる。
「確かに扱いやすい魔法だな。魔力消費も少ないから戦いがずいぶんと楽になった」
「いいなぁ、私も空を歩いてみたいです」
ミーナも女の子だ。一度は空中散歩をしてみたいだろう。
今まで能力で空中歩行や空間転移などの能力は発見されていない。
・・・・・待てよ?もしかして・・・!
「ミーナ、ちょっとそのまま立っててくれ」
「え?あ、はい」
ミーナに向かって風歩を使う。
ミーナの周囲にそよ風のような風が纏われる。
自分で使うと魔力は常にほんの少しずつ減っていくが
他人にかけた場合どうなる?
「よし、いいぞミーナ。これで君も空を歩けるはずだ。歩くというよりも飛ぶイメージかな」
ミーナの体が少しずつ浮き始める。
「わわっ本当に浮いてる・・・」
「好きに動いてみるといい。多分イメージすればその通りに動いてくれるはずだ。」
「ただ迷宮の中だから頭とかぶつけないよう」
「すごいすごいっ!アルトさん!すごいです!私空を飛んでます!」
・・・楽しそうだな。
迷宮の外ならもっと気持ちいいだろうけど、本人が楽しそうならいいか。
「きゃあっ」
「っ!ミーナ!」
ミーナが落下してくる。
落下店まで風歩をかけながら走る。どうにか間に合った。
ミーナにかけた風歩の効果が切れていた。
時間にして5分程度
・自分にかけると常時魔力を消費するが消費している間はずっと発動する。
・他人にかけるとあらかじめ消費する魔力で持続時間が決まる。
こんな感じか
「あ・・・ありがとうございます・・・」
ミーナの顔が真っ赤だ。
初めて空を飛ぶなんて経験をしたんだし興奮したんだろうな。
「そろそろ探索を再開しようか」
「はい・・・」
風歩に関しては某バトルマンガの武空術みたいなイメージです。
この章は次々に新要素が出てきます!
私が把握しきれるかどうか・・・