【第2章】登録と指名依頼
ミーナに魔法のことを話し、パーティを組むことになった。
彼女は真っ直ぐな子だ。約束はきっと守ってくれる。
ギルドについたところでふと気づいた。
「そういえばミーナ、君は冒険者登録はしていないだろう?」
「冒険者登録・・・というのをすれば冒険者証をもらえるのですか?」
「そうだ。ただ君の能力をギルド側に知られるのはまずいかもしれない」
ミーナは治癒能力Aだ。
ギルドを通じてこれが教会に見つかった場合追われるのではないだろうか。
教会に見つからなかったとしてもAランクの能力者は珍しく、国が知ったら追っ手がくるだろう。
「その能力は今までは隠したりしてたのか?」
「私の能力を知っているのは母だけでした。ですから隠す必要があるのでしたら問題なく隠せると思います」
「わかった。治癒能力自体は隠す必要はないから、ランクは聞かれなければ書かないように。もし聞かれたらCランクと答えておこう」
「分かりました」
母だけでした・・・ね。
ミーナの冒険者登録を済ませ依頼板に向かう。
ミーナの冒険者証はこんな感じだ。
名前 ミーナ
年齢 16歳
ランク E
能力 治癒能力
パーティ アルト
きちんと自分が公爵家であることも隠している。
今まで知らなかったがパーティを組むとパーティメンバーが表示されるようだ。
この冒険者証の構造ってどうなってるんだろうか・・・?
まぁそれはいい。
よさげな依頼があればいいんだが・・・
ファングウルフの討伐
危険度 ☆☆☆★★
報酬 銀貨10枚
期限 3日
誘いの森の迷宮探索
危険度 ☆☆★★★
報酬 1階層につき金貨1枚
昨日の依頼がそのまま残ってたり報酬が良くなってたりする。
ファングウルフ討伐の依頼なら今の俺達ならいけるだろうか。
ミーナの実力も昨日だけでかなり上がっている。
そもそも本来の役目は後衛だから護身程度で問題はない。
ミーナに魔法の話をしている以上俺も実力を隠す必要もなくなったし。
「アルトさん」
依頼を持っていこうとしたところで後ろから声をかけられる。
「アリナか」
「はい。アルトさんはこれからクエストですよね」
「ああ、ミーナの実力も分かったしそろそろ稼いでいかないとな」
「ならちょうど良かったです。アルトさんに指名依頼が来ているんです」
「指名依頼?俺にか」
指名依頼とは名前の通り、冒険者を依頼主が指名してくる依頼だ。
基本的に危険度が高く、普通はBランクやAランクの冒険者を指名する。
商人や貴族が護衛を頼むときにこの方法をとることが多い。
あまりに危険な場合には冒険者も断ることができるが、相手が相手なので断ると後が怖い。
「はい。簡単にクエストの内容を説明を説明します。受けるかどうかはその後で構いません」
「そもそも指名依頼は断れないだろ・・・」
「今回は依頼者がギルドマスターでして。無理にとは言わないし、今後に影響も出させない。と仰ってましたので大丈夫だと思います」
「そうなのか」
ギルドマスターが俺を指名したのか・・・?
でも今考えても仕方ないな
依頼の内容はこんな感じだ。
クラスタの迷宮の探索
危険度 ☆☆★★★
報酬 1階層につき金貨10枚
期限 なし
どうやら迷宮の名前は王都クラスタからとったらしい。
なんでも最近出現したばかりの迷宮で騎士団に依頼を出したらしいが騎士団は現在遠征に出ており不在らしい。
「この依頼なら別に俺じゃなくても問題ないんじゃないか?というか危険度3だと俺もあまり行きたくはないんだが・・・」
「ギルドマスターがどうしてもアルトさんに行ってほしいと仰ってまして・・・あと一つギルドマスターから伝言を預かってます」
「伝言?」
「『君がこの迷宮の最下層にたどり着いた時、君の秘密の正体が分かるだろう』と」
「・・!!」
俺の秘密だと!?
つまり『魔法』に関することが何かわかるということなのか?
しかしなぜそれをギルドマスターが知っている?
不可解なことだらけだ。
逃げ道がなくなったな。
「わかった。その依頼を受けよう。ミーナはそれでもいいか?」
「私はアルトさんについていくと決めてますので」
なかなか嬉しいことを言ってくれるな
「しかしこの依頼を受けるならしばらく王都に滞在することになる」
「私のことは心配しないでください。そう簡単に見つかるものでもないでしょうし」
「それに何かあってもアルトさんが何とかしてくれるんですよね?」
全くこいつは・・・
「ああ、任せろ。行こうか、王都へ」
「はい!」
こうして俺達は王都へ出発する準備に取り掛かった。
前回予約投稿をしていないという大暴挙をかましてしまい6日もあいてしまいました
まことに申し訳ないです。
まだまだがんばって書きますのでよろしくお願いします。
10/22 一部を加筆修正