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限界
俺の剣幕に押される事無く
妻は表情一つ変えずに何かブツブツ呟いている。
そんな妻の態度に俺はイライラした。
「はっきり言えよ!聞いてんのか!」
俺の怒号に、妻は
今度はハッキリした声で言った。
「、、、もう、限界なの、、、」
「はっ?お前、何言ってんだよ?」
「限界だって、言ってるの、、、」
俺は妻の的を得ない物言いにまた苛立ちを覚えた。
そんなおれの気持ちを知ってか知らずか
妻は続けて言った。
「、、すぐイライラするの、貴方の嫌な所だわ、、、」
俺を見つめる妻の瞳は
俺を憐れんでいるようだった。
可愛そうな人、、、そんな目だった。
俺はそんな目で見られた事など一度もない。
そんな目で俺を見るなんて、、、
俺は怒りを込めた拳を振り上げた。