5/10
妻の変化
プツッと音が途切れた。
「、、、何?」
寝起きのような少し掠れた妻の声がした。
「何じゃないだろ?鍵開けてくれよ、俺クタクタなんだよ、、、」
俺は怒りを押し殺し、優しく妻に頼んだ。
妻の返事は思いもしないものだった。
「、、、嫌よ。」
「はっ、、?」
妻の思いもよらない返事に、俺の頭はフリーズした。
やっと頭が追い付く頃にはイライラがピークに達していた。
俺は怒鳴るように言った。
「ふざけてないで、さっさと鍵開けろよ!」
俺の怒号に妻はひるむことなく
涼しい声でこう言った。
「、、、今日は家にいれないわ。何時だと思ってるの?今日はどっか駅前のカプセルホテルにでも泊まればいいでしょ?」
俺は妻に何度も鍵を開けるよう言ったが
時間も時間だし、この分では本当に家に入れない、、、
そう感じ、電話を切ると
初めてのカプセルホテルで一夜を明かした。