リワインド
与謝野です。新シリーズ入りましたが初のシリアス系意外と得意かもしれません。
誤字脱字ありましたらお申し付け下さい。
炎天下、燃えるような混凝土の上......
私の仲間は殺されました。
「私は転校します。」
何の反応も起こる筈もない。教室には誰もいない。
勿論活気を失った黒板は埃塗れと化していた。
私は何度もシミュレーションしていたのが、する必要が失せた事で虚しい孤独感に襲われている。
「こんな地味な私がどう生きていけば良いのですか」
××××
2005年8月18日付ー
○○新聞
«社会科見学の小六人質に»
国会議事堂を訪れた○○小学校の生徒91名(校長名××××)が黒いマスクの男に銃殺された。生徒二名と教員は無事でーー......
その日は猛暑日で熱中症患者が多いのか、救急車やら何やらで渋滞していた。小六の私たちにとってはバス移動が楽しみでもあるので虫は良かったのだと思う。
私自身隣の友達 ...ええ澤井さんだっけな....と古今東西ゲームをしていた。
澤井さんは裏表がなく、物腰も柔らかい、性格も良し、顔も整った容姿端麗って奴だ。
割かし仲は良い方だったが雰囲気的にも生理的にも親友とは呼べない様だ。
違和感というかそう言う事かもしれない。
今回のバスの座席では、男子女子分けて座ることになっていた。本当のことを言うと私は女子が苦手だった。小煩い所や変なグループ関係を築くのは考えられ無い。昔から兄家庭に慣れすぎのが原因なのかもしれない。
やっと渋滞も溶けてきた時だった。私達は何かの異変に気がついた。遠くから銃声と思しき音が響いているのである。教師は一先ずの安全のために非常口の確認をさせた。まだこの際は余裕があったのだろうか、男子生徒の一部はまだはしゃいでいる。
私は運のいい(悪い?)事に非常口の横の席だったので、仕方無く手順の確認をしていた。
結局此処では何も起こらずに、時を終えた。
私は妙な違和感を感じていた。今思えばあの時動いていればみんな助かったのかもしれない。と後悔している。
最初の異変というか騒ぎから20分くらい過ぎた時だと思う。悲鳴がバスの中を一様に変えたのだ。
その声の低さから、クラスメイトで唯一声変わりしているええ....吉永君だと確信した。怖かった。
悲鳴が聞こえた刹那銃声が聞こえた。血が噴水のように飛び散り、バス内はバイオハザードと化している。叫んでいる子、吐いている子、失神した子、私のように状況が飲み込めない人.....
黒ずくめの男(?)はバス前列から次々にこめかみに銃を乱射している。私は非常口から一番近いというのに体が硬直して動けなくなってしまった。
悲鳴は脳を抉りとる様に混乱を招いた。
3列前
2列前
1列前
私の体は動いた。
危機的な状況でこそ力を出せるというのはこのことか。非常口のドアを凄まじい速さで開け飛び降りた。
周りには警察のパトカーがバスを取り囲んでいて、私は警察官に保護された。生きていて良かった....
バスを改めて見ると強烈な吐き気が込み上げてきた。大量の鮮血にあれは手だろうか。目に余った。
私の記憶はこれで途切れた。
××××
私は警察に保護され家に返された。
悲しい事にこのクラスに私以外の生存者はいないという。更にはパトカーに他クラスのバスが追突して
ここでも生存者はほぼいなかったという....
涙が頬を伝わった。嗚咽と共に体が熱くなるのが分かる。まだ他クラスに数名生きている人がいる聞いたときは良かったが、重傷、重傷だそうだ。
皆の所に行くかどうかすらも悩んだ。
唯一頼りは兄だった。
私には三人の兄がいる。上から当時16.14.12だ。
(12の兄は私と双子である)
私が何故此処まで孤独を装っているかというと、両親がいないからだ。
事故だった。
悲劇のヒロインぶっているように見えるかもしれないが、人がここ迄死ぬと虚しいものだ。
そんな時に励ましてくれたのが兄だった。
私はブラコンだ。
最早兄しか信じられないようになってしまった。
一年間で怖い事や辛い事がありすぎて、逆に何も言えなくて......だからこそ気付いてくれたのが嬉しくて....
××××××
「手鞠......?どうしてそんな泣いてんの...?」
「......っ !!.....あ..ああごめ...」
涙を拭いわざとらしい笑みをこぼした。
「....」
兄は何も言わず私を抱きしめた。
私の3年前の記憶はこれでお終いである。
手鞠「待って主人公なのに名前一回しか出てない」