表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/23

2

書くのが遅いので、文字数少なめで小出しでいきます。



 王子様、とわたしはお呼びしていますが、本当は『王子様』ではなく『少年王』らしいんです、あの方。

 正確に言えば、あのお方のモデルになった方が、少年王だったという事ですが。

 でも、王子様が少年王であるというのもあながち間違いではないのです。


 なんて事を考えながら、わたしはただ今お食事中です。

 メニューは紫色の果実です。ちょっと酸っぱいですけど、食べられなくはないです。

 聞いた話、他の仲間は木の実や果物は食べないらしいです。動物性蛋白質オンリーな食生活だとか。

 虫だけを食べる生活………三日で飢え死にしそうです。虫が採れなくて。


 否定しようがないので認めますが、わたし、どんくさいんです。しかもちび。

 なぜかというと、わたし、生まれるのがとっても遅かったんです。

 時期的にこの国を離れて次の国へと渡るような、他の子供達がそろそろ独り立ちするかなって頃に生まれたんです。

 で、慌ただしくパパとママに育てられて、大分大きくなった兄様姉様にもまれて育って(自分のことながら、よく潰されずに生き延びたと思います)、仲間達がみんな国を出て行ってしまった頃に、辛うじて飛ぶことが出来たんです。

 パパとママに「先に行きなさい」って言われて、わたしが飛べた頃には兄様姉様は誰も残ってはいませんでした。最初は一緒だったはずのパパとママも、いつの間にかはぐれてしまっています。心細かったけど、向かう先も帰る場所も同じなんだっ! って言い聞かせていっぱいがんばりました。

初めての渡りは分からない事が多くて、それでも何とか故郷に帰ってくることができた事が誇らしいです。パパとママに報告したい! …相変わらず着地は下手くそですけど。


 身体が小さいのは、生まれてから巣立ちまでの期間が短かったのがたぶん原因。飛ぶ様になったら自分でゴハン採らなきゃダメですからね。お口開けて待ってるなんてありえませんから。

 それにゴハンの採り方もしっかり教えてもらえなかったんです。どんなところに虫がいるよ、とか。大きくなったら教えてあげるねってパパ言ってたのに。

 それに、つ、つがい、の、見つけ方、も。こっちはママが教えてくれるって言ってたのに。


 小さなわたしよりもずっと小さい果実を食べるのは、そう時間のかかる事ではありませんでした。

 食事は採ったその場で食べるか、安全な場所に移動して摂るのが普通です。安全な場所っていうのは外敵のいない所です。寝泊まりさせてもらっている王子様の所じゃありません。そんなことしたら怒られちゃいますからね。

 胃を膨らませたわたしは飛んで移動します。胃は果実でいっぱいでしたが、お水が飲みたくなったからです。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ