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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

歪んだ価値観の物語

作者: 現実↓逃避

楽しんでもらえたらと思っています

俺、神逆(かみさか)浩輔(こうすけ)は誰にも言えない特殊な性癖と呼ばれるものを持っている。

見た目は自分で言うのもなんだが、イケメンの部類に入ると自負している。勉学も程よくでき、運動も得意なほうである。自慢にしか聞こえないって?だけどいくらこれだけのいい面があっても俺の性癖の前にはかすんでしまい、周りの人間からは厳しい評価を頂戴してしまうことになってしまう。

なぜなら俺は一般で言うところの、Mと呼ばれる人間なのである。これの前にはたとえイケメンであろうが、勉強できようが、運動できようが、どれだけがんばろうが一様に気持ち悪い等の評価でかすみ、俺のなしたことの本質を見る人が誰一人いなくなってしまう。だが、そんな風になって罵倒されるのもいいかもしれないと思ってしまう俺がいるのもまた事実なのである。もちろんその葛藤には毎回勝ってはいる、じゃなきゃ今頃、ひどいことになっていると思うからな。

もちろん俺がまだMだとはばれていないため、女性になんどか告白されたこともある、おいおい、だからひがむなってば、俺も告白されて嬉しいことは嬉しいんだが返答に困ることになるんだってば、だって俺はMであることを隠してるんだぜ?なんて言って断ればいいんだよ。

ざまぁ?酷いなぁ、告白してくれた子の中にはモロストライクのメッチャ好みの子だっていたんだぜ、それに対して好きな人もいないのに好きな人がいるって言ってごまかさなきゃいけないんだ、罪悪感でいっぱいになるさ。

それでも俺はこれがバレる訳にはいかないんだ。

家で俺がMだと気づかれてからは、家族から俺はいないものとして扱われるようになってしまったからだ。話しかけても無視されてしまう、妹にいたっては声をかけたら金を取られてしまう始末である。学校でもそんなことになったら俺はどうなってしまうか分からない、下手したらそれにすら興奮してしまうかもしれない、俺はそんな自分を見るのが嫌なんだ。ナルシストだって?好きな風に言え、とりあえず俺がとことん嫌がってると伝わればそれでいいんだ。

しかし最近困ったことが起きているんだ、それが何かって?それとも興味ない?とりあえず興味があってもなくても聞いてくれないか、じゃないと俺の精神が持たないかもしれないんだ。

最近告白されたんだよ。オイ、待つんだ、その手に持ったペンを放すんだ。

…落ち着いたか?じゃあ続けよう。もう聞きたくない?嫌でもいうって言ったよね。

その告白を俺はいつもみたいに断ったんだよ、ってそんな悔しそうな顔でプルプル震えるな、男のお前がしてもキモイだけだ。ゴホン、そしたらその女なんていったと思うよ。その好きな人はいったい誰なんですか?って聞いてきたんだよ、ここまでだったらよくあるんだけど、適当に架空の人物を挙げようとしたら、そいつを殺せば私が一番になるのね?って言ってきたんだぜ。何で急に哀れなものを見る目つきになってやがるんだてめえ!

とにかく、俺は怖くなったからその場から逃げ出したんだよ、そん時は追ってこなかったんだ。

やめろ、手を合わすんじゃない!!…話を戻すぞ、次の日の昼食時に何食わぬ顔で俺のいる教室に来たんだよ、俺の分の弁当も作ってきたんですとか言ってさ。まあそういう物はよく貰ってたから深く考えずに受け取ったんだよ。だからその握りしめた拳を下ろせ、僻みほど醜いものはないんだぞ!意外なところで人は見てるんだからな。

弁当開けたらさ、俺の好物ばっかりだったんだよ。何?よかったじゃん?俺は家族にも好物を忘れ去られたんだぞ、しかも誰にも言ってない、なのに好物ばっかりなんだぞ。しかも、肉料理に至っては何の肉を使ったか聞いたんだよ、微笑みを浮かべるだけで何も答えなかったよ。それで食べてって促してくるんだ、断ったら何されるかわからないと思って恐る恐る口にしたらそのタイミングで邪魔な女は消しておいたわよって言われたんだ。今気分悪くなっただろ?俺はそれが飯食っているときに来たんだ、そりゃトイレに駆け込むだろ?そしたら個室のドアをドンドンドンって叩いてくる奴がいたんだよ。個室の外からは、なんで私の作った料理吐いちゃうの?不味かったの?あなたの好物をちゃんと入れたのよ?それともほかの女ね?ほかの女のほうがいいのね?あなたの妹さんじゃだめなの?明日こそはちゃんとあなたの好きなもの調達するから!ってドアを叩いてくるんだ。な?青い顔になるだろ?

叩く音が止んだと思ったら個室の上から覗き込んでくる奴の姿が見えたんだ、そりゃ大声で叫ぶだろ、そしたら俺のその声を聴いた教員が駆けつけてくれたから助かったよ。

おう、ありがとう、ホンとよかったよ、でもそれであきらめてくれれば、よかったのになぁ…



俺は今自分の部屋にいる、あの日妹が帰ってこなかった日から俺は誰にも言わずに家を飛び出して、6畳一間のアパートで暮らしている、大事なことだからもう一度言う。俺は一人暮らしを始めたことも、アパートの場所も誰にも教えていないなのに……

ドンドンッドンドンッ

「ねえ、いるんでしょ?いるんだったら返事してよ、いるのは分かっているのよ、私たち愛し合っているんだから部屋に上げてよおおぉぉぉ!」

なんでやつが俺の部屋の場所してるんだよ。俺は膝を抱えてうずくまっている、俺は精神的に追い詰められていっているのが自分でも分かる程度には追い詰められ、憔悴していっていた。だが、この憔悴していっている感覚すら俺のMの部分は快感と感じている。

気が付くとドアをたたく音がやんでいた。

今日はようやく帰ったのかと思って顔を上げ、目の前にあった鏡を見てみると、そこにはやつれて幽鬼のような俺の顔が写っていた。

鏡から視線を外して窓のほうを見るとそこに張り付くようにあの女がいやがった、ここは二階だぞ!?

中を覗き込んでいる女は口を三日月のように、ニヤリとした笑みを作ると何事かをつぶやいた。ああ、ヘタに読唇なんてするんじゃなかった。

なんだ、やっぱりいるじゃない

俺が玄関のほうに走るのと奴が窓を割って入ってくるのがほぼ同時だった。

俺はなりふり構わず悲鳴を上げながら玄関のドアを開けようとするが、なぜかドアが開かないなんでだよ

「そこのドアは外から針金でドアノブが動かないように固めてあるよ」

後ろからあの女の声が聞こえる、後ろを向くのが怖い、でも向かなきゃ何をされるか分からない

「ねえ、なんで逃げたの?私たち『恋人』でしょ?」

「俺はお前と付き合ってなんかいない!」

くそ、怖い、俺が後ろをゆっくりと振り返ると女は泣いていた

「なんでよ、私たちあんなに愛し合っていたじゃない!なんでよおぉぉ!」

ふと、ストーカー女は叫ぶのをやめると急に壊れた笑い声を発し始めた

「フフフ、やっぱりそうよね、あなたにはほかの女がいるものね」

そこから先は俺は聞かないように努めた。だが、なぜかなんと言ったか、分かってしまった。

じゃあ、忘れさせてあげる、これからは私だけを見てね



あの日あの女が窓を割って入って来てから毎日郵便受けに封筒やビンが詰め込まれている、最初に来た封筒には血まみれの爪と髪の毛が入っていて中から出てきた紙には一人目消去と書いてあり、そこから毎日届くものは見ていない、詰め込まれたビンの中には誰かの目が入っていた、2,3日後には大家さんが行方不明になってしまった。

俺はアパートを飛び出し、漫画喫茶やネットカフェを転々としている。なのに毎日見られている気がする、しかもその感覚が日に日に俺に近づいている気がする。

もういやだ、やめてくれ、俺はもう限界なんだ助けてくれよMの部分が興奮するだろうが!じゃなくて、憔悴しきっているのがわかる。

…そうだ、警察に行こう、そうだよ、初めからこうすればよかったんだ、そうすればあのイカレタ女をムショにぶち込むことができるんだ、さっそく警察署か交番にでも行こう。



駅前の交番が見える位置まで来た俺はようやく救われる気がした、ようやくあのストーカーから解放されるんだ…

なぜかあの女のストーカー行為がなくなるのが心のどこかで残念でならないと思ってしまっている。また俺のMのぶぶんが原因なのか?俺が血迷った行動に出ないように自分自身でしっかり自分の感情を制御しなきゃいけないな。

「あれ?お前浩輔じゃねえ?そんなにやつれてどうしたんだよ、あれか?まだストーカー行為にあってんのか?」

声をかけてきたのは俺の相談に乗ってくれて友人だった。

「なんだお前か、またあの女かと思った、でも大丈夫だもうすぐ交番だからな、これで俺ももう解放されるかと思うと気分がよくなる」

「そうか、じゃあ一緒に行こうぜ、ちょうどすぐそこだ」

そういってもう目と鼻の先にある交番に向けて歩き始めた

「そういえば俺がいなくなってから変わったことってあるか?」

聞いても友人から返事がなかったため、友人のいた方を見ると、友人が忽然と姿を消していた。

あれ?あいつどこに行った?一瞬前まで確かにすぐ後ろにいたのに。あいつはこんなところでこっそり逃げたりするやつじゃないんだけどな。

……いや、まさか、そんなはず…あの女が関わってきているはずなんてないはずだ

そのまま俺はあたりをキョロキョロ見ていたがきっとトイレに行ったかなんかだろうと思い、その場で少し待機していた

「しかし、ビルの乱立している空間から空を見上げてもなんか閉塞感しかないな」だがこの閉塞感がたまらなく俺のM心に火をつける。叫びだすのを我慢しているぐらいだ。

なんか俺の潜在意識のMのところがだんだん肥大化してきてるな。

俺は友人が戻ってくるまでそんなことを考えながら空を見上げていた。



そこから3分後に友人は降ってきた。


何が起きたか理解できなかった、さっきまで一緒にいた人間が何で空から降ってきたのか理解したくなかった。

友人はほんの7~8分前まで快活に笑いながら会話していたはずなのに、その顔は恐怖に歪んでいて、全身血まみれになっている、血まみれになっている理由は友人の肩から先が無くなっているせいだろう、友人の右腕は無くなっていた。もちろん周りには野次馬が集まってくる、交番からも警官が駆けつけてきて現場の保存とかをし始めているが、野次馬が集まってくるのは止められない。しかしその中にいつも感じている視線が混ざってきた。またお前なのか?俺からこれ以上何を奪うつもりなんだよ!

「少し前までこの方が話していた相手があなただという情報が入ったのですが、そこの交番で少し話を聞いていいですか?」

と警官が話しかけてきた


気が付くと飛び出したアパートの床にうつぶせで寝ていた。あの後の記憶がない、きっと全部夢だったんだ、そうじゃなきゃ納得できないな、そう思いながら部屋にあったテレビを点けるとニュースがやっていて

『本日の午後3時ごろに○○県□□市の□□駅で右腕を欠損した男性の遺体がビルの屋上から落ちてきた事件がありました。最近□□市付近で相次いで人が失踪している事件と関連があるのか警察が調べ………』

夢…じゃない?そう判断すると途端にどこからか大きな叫び声が聞こえてきた、しかし、それが自分の口から発された声だとわかるのに数秒の時間がかかった。

大声で叫んでいたせいで玄関のドアが開いて誰かが入ってきたのに気が付かなかった

「あ、目を覚ましたんだね?」

忌々しいあの女の声が背後から聞こえた、恐る恐る振り返るとニッコリとした笑みを浮かべたストーカー女が立っていた。

「ねえ、大丈夫?」といって俺との距離を詰めてきた

「やめろ近寄るな、俺をここまで追い詰めて楽しいのかよ!ふざけんな、お前なんて大嫌いだよ!」

俺の言った"大嫌い"という言葉を聞くと表情を消した女が

「おかしいなぁ?邪魔なものはみんな排除したのに何でまだ浩輔君は私を見てくれないのかなぁ?」

ぼそぼそと何かを呟き始めた、これが逃げる最後のチャンスと思った俺は、窓のほうに走り出そうとした。しかし、足に何かが当たり、そのまま転倒してしまった。足に当たったものを確認すると右腕が落ちていた。

「浩輔君はひどいね、友人の腕を蹴るなんて、でもなんで今逃げ出そうとしたのかなぁ?そんなことをする足はもういらないよね?」

女が手に鉈を持って近づいてくる、俺は必死に足を動かして逃げようとするがうまく足が動かないせいであっさり捕まってしまった。恐怖一色で支配されてしまった俺の中では、あの鉈を振り下ろされたらどれだけ気持ちいいのだろうという考えまで出てきてしまっていた

「足を切り落としても手で逃げられるかもしれないものね、じゃあ念のために手も切り落としておこうかしら、そうそう、愛を囁かれるのはいいけど助けを呼ばれたら厄介だから、その舌も切り離しておきましょうかしら」

鉈をもったキチガイがそんなことを言いながら近づいてきて

「じゃあ最初は右足からかしら」

そういって鉈を振りかぶってきた、その時俺の思考は加速した

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い気持ちいいのかな怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖気持ちいいのか?怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い振り下ろされた

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い気持ちいい痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い気持ちいい痛い痛い痛い痛い痛い気持ちいい痛い痛い痛い痛い気持ちいい痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い気持ちいい痛い痛い痛い痛い痛いkうぃ:あsdヴぉか:dl

俺の意識はそこで途切れてしまった






『次のニュースです、○○県□□市の△△アパートから腐敗臭がすると連絡を受けた警察が△△アパートに行くと、大家が不在だったため、ドアを壊して踏み込んだところ、手足の切り落とされた腐りかけの死体にスープを飲まそうとしている女が発見されました。警察はこの異常な状況からこの女が半年前の失踪者続出事件と、□□駅の死体遺棄事件に関連してるとみて捜査を___________。』

楽しんでいただけたでしょうか?

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